いまさらorenz nero
ORENZ NEROはずつと気になつてゐるシャープペンシルだつた。
シャープペンシルは使はなくなつて久しい。
いつのころからか、えんぴつを好んで使ふやうになつた。
それでなければ万年筆だ。
気になる理由は、その売れ行きだつた。
どこに行つてもない。
いつでも品切れだ。
そこで、どんなものだらうといふので、ORENZを買つてみた。
最近のシャープペンシルの芯の書き心地といつたら。
考へてみたら、高校生のころからシャープペンシルの芯はぺんてるのものを使ふことが多かつた。
たまにUni。そんな感じ。
しばらく使はないうちに、シャープペンシルといふのはこんなに書きやすいものになつてゐたのだなあ。
しみじみさう思つた。
なんていふのかな、それこそ「三日会はざれば刮目して相待すべし」といつたところだらうか。
シャープペンシルとの邂逅は、三日ぶりなんてなものではない。
まさに刮目して相待するしかない。
そんな感じだつた。
普通のORENZで満足したので、ORENZ NEROはもういいかな。
正直云つて、さう思つた。
相変はらず店頭では見かけないし、Webで検索をかけても売り切ればかりだし、これはもう手には入らないのだ。
さう思つてゐた。
出会つちやつたんだな、これが。
たまたま東京駅付近に用事があつたので、ぶらりと丸善丸の内店に立ち寄つたのが運の尽きであつた。
あるぢやないか。
ORENZ NERO。
あるにはあるけれど、0.2はもう残り一本だつた。
気がついたら会計の列に並んでゐた。
ORENZはすでに使つたことがあつたので、使用するのに戸惑ふことはなかつた。
ただ、最初に芯が見えるところまでノックするといふことは忘れてゐた。
そこはちやんと取扱説明書を見てゐたので問題なかつた。
ORENZとORENZ NEROとの違ひは、重さだらうか。
ORENZ NEROは書かうとしたときにずつしりとした重さがある。
重心は握るあたり、或はもつと先の方だらうか。
万年筆では尻軸の方に重心がある方が好きだが、書いてみるとシャープペンシルならこれも悪くない。
万年筆だと太めの軸が好きだが、えんぴつならこれくらゐだよね、といふ太さでもある。
芯は、これはもう、好き好きの問題で、ぺんてるの芯は好きだなあと思ふ。
なめらかな書き心地で、個人的にはRhodiaとの相性が抜群だと思つてゐる。すひつくような感触があつて、ずつと書いてゐたい気になるのだ。
なるほどねえ。
売れるわけだよね、ORENZ NERO。
マットブラックなところもいいし、お気に入りの一本がまたここに、といつたところだ。
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