録画機が壊れてしまつたので
TVの地方局で、「傷だらけの天使」の再放送を見てゐる。
録画機が壊れてしまつたので、放映時間に見てゐたのだが、これが案に相違して楽しい。
録画機が壊れるまで、TV番組は録画をしてから見るものだつた。
放映時間にTVの前にゐられないことが多いからだ。
TV番組を録画することに慣れると、放映時間にTVを見やうといふ気が薄れてくる。
放映時間に見るといふことは、束縛されるといふことだ。
番組の時間にあはせてほかの用事を済ませ、TVの前に座らなければならない。
録画機が我が家にくるまでは当たり前だつたことが、ひどく苦痛になつてゐた。
また、録画するとコマーシャルをとばして見ることができるやうになる。
さうすると、リアルタイムで見るときにコマーシャルを見るのがつらくなることがあるのだ。
とくに二時間ドラマや映画などで、話が進むにつれてコマーシャルの時間が増えるやうなとき、「とばせたらなあ」と思ふやうになる。
録画する番組は時代劇が多かつた。
日中再放送されてゐる番組である。
コマーシャルは「膝が痛い」だとか「髪が薄い」だとか「目が疲れる」だとかに効く商品のものが多い。
見てゐると、だんだん憂鬱になつてくる。
そして、毎回見るうちに、「もしかしたらほんたうにこの商品は膝の痛みに効くのかも」といふ気がしてくる。
ヤバい。
とてもヤバいのだつた。
「傷だらけの天使」くらゐの番組になると、当然DVD Boxも出てゐて、見たければそれを買へばいい、といふ話もある。
でもなー、違ふんだな。
見たい番組が、TVで放映されてゐる、といふのがいいのだ。
それも、何曜日の何時からとか、平日毎日何時からとか、定期的に放映されるのがいい。
おそらくこれつて紙芝居を待つこどもの心境なのだと思ふ。
あるいは次回の講釈を待つ人の心境か。
あめはないけれど、TVで放映する。きまつた曜日のきまつた時間、きまつたTV局で、見たい番組を見られる。好きな俳優が見られる。
それがいいんだと思ふんだな。
メディアを買つて、見たいときに見られるといふのももちろんいいし、そんなわけで「必殺仕掛人」のBoxは買ふつもりでゐるのだが。
でも、Boxを買つたとしとても、TVで再放送がはじまつたらまた見るね、「必殺仕掛人」。
ところで「傷だらけの天使」が終はつて、今度は「探偵物語」がはじまつた。
見るでせう。見るよね。
録画機が壊れてゐてもしばらくは楽しく暮らせさうだ。
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