春だから
卒然として、かぎ針編みがしたくなつた。
それもアイリッシュ・クロシェ。
実をいふと、具象的なものを編むのは好きではない。
あみものにしてもタティングレースにしても、抽象的な模様や形のものが好きだ。
クロススティッチをしないのは、おそらくさういふとこなのだと思つてゐる。
スウェーデン刺繍は一時かなりはまつた。幾何学的な模様を刺すものだからだらう。
なのにアイリッシュ・クロシェ。
見るからに花だとか葉だとか実だとかわかるものを編むものだ。
しかもいちいち端糸の始末が必要なモチーフを編むときてゐる。
どこかをかしいんぢやあるまいか。
春だしな。
本を探したところ「風工房の小さなクロッシェレース」が出てきた。
この本で使用してゐるレース糸はオリムパスの金票40番かエミーグランデである。
エミーグランデ、好きな糸なんだけど、在庫にはあまりない。
ほぼ使ひきつてしまふからだ。
40番もほとんどない。
白の100g入りが手つかずであるくらゐで、あとは去年編んだスカーフの残りがあるくらゐだ。
さう。
あるぢやあないか。
去年の残りが。
といふわけで、出してきてみると、これが緑色の糸だ。
わかつてゐたけど。
これで葉を作るのはともかくとして、花はどうだらう。
作つてみた。
うーん、やはり緑で花は無謀だつたな。
葉も、白だの黒だの生成だので作るからいいのであつて、緑で作つてしまふのはなんだか違ふ気がする。
そして40番といふのも無謀であつた。
やはりもう少し太い糸で試すのであつた。
久しぶりのかぎ針編みが40番といふのは、不器用な人間には細すぎる。
といふわけで、エミーグランデなど買つてみやうかと思つたわけだが。
エミーグランデ、高くなつたからなあ。
金票40番の50gも同様だ。
レース編みをしなくなつた所以は、レース糸の価格の高騰にあるといつても過言ではない。
ちよこつと作るだけなら糸の量もそんなに使はないだらうなどと云ふなかれ。
そのちよこつと作るにも糸玉ひとつが必要なのだ。
さうさう気軽にははじめられない。
手持ちの中細毛糸で編むかなあ。
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