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Friday, 16 March 2018

「浪曲子守唄」を読む

「傷だらけの天使」の再放送を見てゐると、当時巷に流れてゐた歌謡曲をそのまま聞くことがある。

ぴんから兄弟の「女のみち」だとか、殿さまキングスの「なみだの操」だとか。
ホーン・ユキ演じる浅川京子が梓みちよの「二人でお酒を」を鼻歌で歌つてゐたりだとか。

それとは別に、劇中で使つてゐる曲もある。
「神田川」のインストゥルメンタルがBGMとして使はれてゐたり、寿々木米若の「佐渡情話」のレコードをかけたり、「浪曲子守唄」が流れたり。

「浪曲子守唄」なんてそんなに好きぢやないのに、第三話、第四話とつづけて使用してゐるもんだから、気がつくと歌つてゐることがある。

なぜ「浪曲子守唄」がそんなに好きではないのか。
未練たらしいからだ。
「未練はないが」とわざわざことはるところがかへつて未練だ。

さう思つてゐたのだが、今回自分で歌つてゐるうちに、これは別に未練だから云ふんぢやないんだな、といふことに思ひ至つた。

説明してゐるのだ。
なんで自分は赤子を抱へて子守唄なんぞを歌はにやならない境遇にゐるのか、と。
それは女房が逃げてしまつたからなのだ、と、簡潔に説明してくれてゐるのである。
そして、自分は女房に逃げられるやうな男なのだといふこともそれとなく匂はせてゐる。

でもなー、だつたら、「女房が逃げた」でいいんぢやないか。
「未練はないが」なんて云ふからいけない。
そこんとこが好きになれないんだなあ。
これはもう好みだから仕方がない。

一番の歌詞のあと、語りが入る。
そこにも逃げた女房のことを「薄情」などと云ふせりふが入つてゐる。
未練たらしいでせう?

でもこの歌詞はおもしろい。
かうしていろいろ考へることができるからだ。
歌詞は、そんなに長くできるものではない。
普通単文で、しかも短いことばでさまざまなことを伝へる必要がある。
その短くときに説明不足の文章から、いろいろ読みとることになる。
楽しい。
これが実に楽しい。
中条きよしの「うそ」とか、如何様にも考へやうがあつておもしろい。

さう思つて聞くと「浪曲子守唄」も悪くない。
歌の主人公である男のことを考へてゐると、そら女房も逃げるよな、といふ読みもある。
さうやつて考へていくと、この歌はやつぱり好きにはなれないけれど、おもしろい。
やはり好きにはなれないとわかるところがおもしろい。

かうやつて考へてみると句会つてやつぱり楽しいのかもしれないなあ。
参加してみるかなあ。

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