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Friday, 23 March 2018

なにが贅沢か

昨日は「新たに手帳や筆記用具を買ふのではなくて、手持ちのものを使ひたい」といふやうなことを書いたが。

でも、万年筆に関しては、たくさん使つてきたので「かういふペンが好き」といふことがわかつた、といへる。
無駄遣ひの云ひ訳?
そのとほりだ。

万年筆がほしかつた、といふ話はここにも何度か書いてゐる。
なぜなのかはいまとなつては不明だが、高級感とブルーブラックのインキとがよかつたのだらうと思ふ。
いまこそボールペンにもブルーブラックのインキのものがいくつもあるが、やつがれがこどものころはなかつた。
ボールペンといへば黒・赤・青、あつて緑くらゐだつたと記憶する。
そこにブルーブラックだ。
いい色だ。
万年筆のインキにも黒や青、赤もあるけれど、ブルーブラックこそ万年筆だと長いこと思つてゐた。

はじめての万年筆は、モンブランのマイスターシュテックはショパン・エディションだつた。
建て替へ前の日本橋丸善で求めた、といふ話も以前書いたやうに思ふ。
これが実に書きやすいペンで、なあ。
長いこと一番自分らしい字の書けるペンとして君臨してゐた。

はじめてのペンがすばらしいペンだつたのだから、それ以上求めるものはない。
理屈でいへばさうなる。
しかし人生は理屈どほりにはいかないのだつた。

ペリカンがペリカーノJr.といふ習字用の万年筆を出してゐるといふことを聞きつけて、どんなものなのかと買つてみたところ、これがまたいい。
白いキャップの時代のペリカーノJr.で、青い軸のものを買ひ、ターコイズのインキを入れた。
これが至極使ひやすい。
廉価なので気軽に使ひやすいし、インキの色も明るくていい。なにより書きやすい。
ここから、気になるペンを買ひまくるやうになつた。

ファーバー・カステルのペルナンブコを手にしたとき、その書き味のやはらかさにびつくりした。
ペン先自体がやはらかくしなふといふ印象はなかつた。
ただ、紙にペンを滑らせたときのなんとも云ひ難いやはらかな感触に、陶然とした。
いまでもする。
このときに、自分はやはらかな書き味のペンが好きなのだな、とやつとわかつたのだつた。

しかし、好きなペンと書きやすいペンとはまた違ふ。
そこでプラチナ萬年筆である。
あるいは中屋万年筆。
そんな感じで、いまは中屋万年筆の中軟が、一番自分らしい字の書けるペンになつてゐる。

去年は久しぶりに大物を購入して、その後はペンに対する物欲はおさまつてゐる。
いまは手持ちのペンでもつと書きたいし、もつと書く時間がほしい。
それが一番贅沢なことなのかもしれない。

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