1月の読書メーター
1月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1830
ナイス数:32
若手歌舞伎の感想
昔の「演劇界」の劇評などを読むと「かくかくしかじかの所作はこの役の性根と違う」などという話が出てくる。自分が芝居を見るようになってからの劇評ではあまり見たことのない指摘で「最近の劇評家はそういう見方はしないのかなあ」と思っていた。どうやらそうではないらしいことがこの本の「跋」に述べられている。若手役者の評、近年上演された芝居の評が多く、読んでいて思い出しやすいところが大変いい。想定読書層もまちつと若い層を狙うとなおよかったかと思うが、若い層は劇評など読まないとの判断だろうか。
読了日:01月02日 著者:中村 達史
How To Think: A Guide for the Perplexedの感想
ヒトの脳は考えることを忌避するのだという。面倒だからだ。それでも考えようとする人は異端なのではないかなあ。「人間はひとりで考えることはできない」という話が書いてあるというので読んでみた。先にカーネマンを読んでおくべきだったかもしれない。
読了日:01月10日 著者:Alan Jacobs
あのころ、早稲田での感想
「「日本のローザ・ルクセンブルク」と呼ばれた」と「ウテナさん祝電です」の著者紹介にあったことを鮮明に覚えている。この本にはそんな姿はまるで見えない。「戦後民主主義の中で育ってきた」とあるのを読むと、戦後民主主義というのは戦中以前のことはすべてダメだったとするだけでものの本質はそのころとまったく変わっていなかったのではないかという気がする。
読了日:01月11日 著者:中野 翠
慶應志木高校ライブ授業 漢文は本当につまらないのか(祥伝社新書)の感想
題名が惜しい。おもしろいと思う人もいればそうでない人もいるし、おもしろいものもあればそうでないものもあるというのが実のところなのではないかと思うからだ。生徒たちが段々白文を読めるようになっていく様がおもしろいと思った。こういう授業を受けられる人もいるんだな。うらやましい。
読了日:01月14日 著者:橋本陽介
統計学が最強の学問であるの感想
Excelを使ってちょっといろいろやってみようかな、と思った。内容とは関係ないけれど、紙質のせいでページがめくりづらくて難儀した。廉価にして大勢に読んでもらおうということなのだろうけれども。
読了日:01月17日 著者:西内 啓
精神の政治学 (中公文庫プレミアム)の感想
昨今スマートフォンの使用を控えネットに接続する時間を減らそう、そうすることで自分本来の時間を取り戻そうなどという説を目にするけれど、そんなことは、ほかのたいていのことがそうであるように、昔から云われていたんだな。
しかし、人間はその技術の進歩に見合った精神状態にあったことがあるのだろうか、とも思う。それと、この講演を聞きにきたのはどういう人で、どういう反応があったのかも気になるなあ。
読了日:01月20日 著者:ポール・ヴァレリー
史上最悪の英語政策—ウソだらけの「4技能」看板の感想
中高六年間といえど週に三〜五時間の授業では一年間で五.八日間にしかならない、という主張には「それじゃあできるようにはならないよね」とは思う。「英語、できるようになりたいけど、でも(英文法とかは)違うんだよね」という発言に違和感を覚えていたのだが、「そういうことだったのか」という指摘もある。
しかし、ことばのことを書き文章の書き方について云々しているわりには誤変換を超えた誤表記がある(普段そういうことにあまり気づかない質なのだが気がつくレヴェル)のが残念。
読了日:01月24日 著者:阿部公彦
朱子学と陽明学 (岩波新書 青版 C-28)の感想
「暗闇仕留人」でナックル星人……ぢやなくて成瀬昌彦が「論語集注」を読んでいるのを見て気になっていた朱子学。基本書として勧められて読んでみたが、学校の世界史でやった「宋 朱子学 性即理」「明 陽明学 心即理」ていどの知識ではとても太刀打ちできなかった。仏教や道教の影響のくだりはしかし読んでいておもしろかった。李卓吾の場合は回教の影響ももっとあったのではないかと思うが、そこは紙幅が許さなかったのか。
読了日:01月31日 著者:島田 虔次
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