糸をつぐときも
ノールビンドニングで、リストウォーマを作つてゐる。
ノールビンドニングをはじめて編み地のあたたかさを知り、「これで手首・足首をあたためるものを作りたい」と思つた。
それなのになぜ最初がベレー帽だつたのかといふと、「はじめてのノールビンドニング」に指定されてゐる糸で手に入りかつ作りたいと思つたのがベレー帽だつたからだ。
ベレー帽を作つてゐるあひだに作り目の作り方を忘れてしまひ、「最初はもつと速くできあがるものを作るのだつた」と思つたがあとの祭りである。
ベレー帽はダルビー・スティッチといふすくふ目の少ないスティッチで作つた。
いま作つてゐるリストウォーマはブロディエン・スティッチといふすくふ目の多いスティッチで作つてゐる。
最初はミトンを作るつもりでゐたが、ミトンはさんざん編んでしまつたのでリストウォーマでいいかなと思つてゐる。
職場や自宅でPCのキーボードを使ふときなど、手首付近が異様に冷えることがあるからだ。
いまも以前編んだ指なし手袋をして打つてゐる。
「はじめてのノールビンドニング」にはミテーヌと呼ばれる指なしミトンが掲載されてゐる。
ミテーヌか。いいかもしれないな。
親指部分は穴をあけるだけで編まない方向でどうだらうか。
と、編みながら考へてゐる。
ノールビンドニングはなんだかんだいつて時間がかかるからね。
慣れればさくさく編めるやうにはなるものの、糸をつなぐのに時間を取られる。
最近は糸をつなぐのもそんなに苦ではなくなつてきたやうな気もしないではない。
いま使つてゐる糸は比較的つなぎやすい糸だからといふのもある。
文楽に鶴澤藤蔵といふ三味線方がゐる。
文楽の床にあがつてゐるとき、演奏中でなくても、たとへば三味線の棹を拭いたり糸を変へたりしてゐるときでも語りや三味線の音が躰に流れてゐるやうな、そんな三味線方である。
ノールビンドニングをしてゐるとき、糸をつなぐあひだも一連の流れとしてとらへられてゐるな、と思ふ瞬間、ぼんやりと藤蔵の三味線を思ひ出したりしてゐる。
まことに僭越ではあるけれど。
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