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Wednesday, 20 December 2017

今年入手した萬年筆 アウロラ ネブローザ

久しぶりに萬年筆を買つた。
アウロラのネブローザである。

Aurora Nebulosa

「久しぶりだなんてまたまた」と云はれるかもしれないので確認してみた。
一万円を超える、いや、五千円を超える萬年筆は、ここ四年ばかり一本も買つてゐない。
その間、Pilot の KAKUNO は何本か買つてゐるが、それくらゐだ。
今年はエルバンのヴィオレ・パンセも買つた。
でも、KAKUNO もエルバンのペンも「万年筆」ではあつても、「萬年筆」と呼ぶにはちよつと気が引ける。
といふわけで、久しぶりに「萬年筆」と呼んでもいいかなといふペンを購入したのだつた。

ネブローザは最初から買はうと思つてゐたペンではなかつた。
発表されたのは知つてゐたし、きれいなペンだなとも思つたし、自分の好みにぴつたり合ふ色だなとも思つた。
でも買ふつもりはなかつた。
最後に「萬年筆」と呼ぶにふさはしいと思ふペンを買つたのは、2013年のこと。ペンは中屋万年筆の昇龍だつた。
昇龍は、現在手元にあるペンの中でおそらく一番自分らしい字の書けるペンだ。
もうしばらく萬年筆は買ふまい。
買つたときさう思つた。

ところでネブローザに先立つてアウロラからシガロといふ萬年筆が発売された。
これはほしいと思つた。
やつがれは煙草は吸はない。
いまだかつて吸つたこともない。
家族はみんな吸ふか吸つてゐたかなので、受動喫煙はさんざんやらかしてゐると思ふが、つひぞ煙草を口にしたことはないのだつた。

ゆゑにシガロがほしかつた。

シガロは葉巻に着想を得たペンである。
ゆつたりと手にしてのんびりとなにごとかしたためる。
ときに葉巻を吸ふかのやうに口元に近づけてもいい。
そんなペンだと思つた。

それがなぜ突然ネブローザになつたのか。

理由のひとつは実相寺昭雄である。

購入当時、渋谷ユーロスペースで「実相寺昭雄の光と闇」といふ特集を組んでゐた。
見に行くうち、ネブローザの惹句の中に「光と影」といふ文言があることを知つた。
ネブローザとはイタリア語で星雲のことだといふ。
星雲の織りなす光と影とを表現したペン軸、とでもいつたところか。

光と闇。
光と影。

いいぢやあないか。

さう思つて文房具屋に赴くと、ネブローザとシガロとが陳列してあつた。
どちらもこの店舗では最後の一本であるといふ。
試し書きさせてもらつた。

ネブローザの書きやすさといつたらどうだらう。
一方のシガロは高級感のある重厚さで、ずつと持つて書き続けるのはチトつらさうであつた。
しかも、書き味がいまひとつであつた。
これがふたつめの理由である。
ネブローザは圧倒的に書きやすかつた。
そして最後の一本であつた。

そんなわけで、とても書きやすいと思ひつつ使つてきたのだが、ここのところ首軸からインキが漏れてきてゐるやうだ。
修理に出すやうだ。
保証期間内だからなんとかなるんぢやないかと思つてゐる。

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