今年読んだ本 2017
今年は八十冊ほど読んだのらしい。
何年か前は、「一月に五冊読む」といふ計画をたててゐた。
たてなくなつて久しい。
でもまあ、それくらゐは読むのだらう。
予定をたててゐたころといまとではなにが違ふことがあるのか。
たとへば、今年の四月は三冊しか読んでゐない。
でも予定をたててゐないので別段問題はない。
予定をたててゐたころは、なんとかしてあと二冊読まうとしてゐた。
予定をたててゐなくても、最終的な月平均はほぼ五冊。
予定をたてなくても読めるやうになつたといふことか。
あるいは、もともと予定なんぞたてなくてもこれくらゐは読むといふことなのか。
今年は久しぶりに電車を乗り過ごすかと思ふやうな本に出会つた。
Nabokov's Favorite Word Is Mauveである。
この本は、電子化された古今の名著をもとにどの作家・どの本でどんな単語が使はれてゐるか統計をとり、それについてあれこれ述べてゐる本だ。
これまで生きてきて、本がおもしろかつたので電車やバスを乗り過ごしたことは一度しかない。
地図帳を見てゐるときだつた。
それ以来のできごとだつた。
データが並べてあつて、そこからいろいろ妄想をめぐらせることのできる本が自分は好きなのらしい。
地図帳も似たやうなものだ。
この本を読んだあと、Lolitaも読んだ。
云はれてみると確かに「mauve」が何度か出てくる。
ナボコフといへば今年は「アーダ」の新訳が発売された。
これにもやつぱり「mauve」がたくさん出てくるのか知らん。
今年は再読した本も多かつた。
中でも「二都物語」は乗り過ごしはしさうになかつたものの、仕事中など読書を再開するのが待ち遠しい気分でいつぱいの本だつた。
多分再々読くらゐだと思ふ。
Nabokov's Favorite Word is Mauveを読んだあとだつたからだらうか、ディケンズの文体のリズムといはうか調子といはうか、読んでゐてとても心地よかつた。
もちろん話の内容もおもしろい。
Nabokov's Favotie Word is Mauveの前段にはThe Secret Life of Pronounsといふ本があつた。
これは代名詞や冠詞といつた普段はあまり着目されない品詞をどれくらゐどのやうに使つてゐるかについて統計をとり、あれこれ述べた本だ。
著書James Pennebakerは大統領選挙などのdebateや就任演説で各候補者や大統領の使用した単語の統計を取つて分析してゐたりする。大学の研究室でやつてゐるのかな。そんな感じ。
これがいつもおもしろい。きちんと読んでゐるわけではないが、更新されるたびに見にいつてゐる。
英語だと単語の切れ目がわかりやすいから統計もとりやすからう。
日本語でも似たやうなことを研究してゐる人がゐるらしいので、できたら読んでみたい。
なんとなく、以前よりも楽しく本を読めるやうになつてきた気もする。
予定をたてないやうになつたからかもしれないし、上にあげたやうな本や「読んでいない本について堂々と語る方法」や「文学の楽しみ」、「わかったつもり」などのおかげのやうな気もしてゐる。
来年もこれといつて予定をたてるつもりはない。
自分なりに楽しく読んでいけたらいいなあ。
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