美しい水車小屋
「美しい水車小屋の乙女」といつた場合、「美しい」はどこにかかるのか。
さう考へさせるやうな云ひ方書き方はしてはいけない、といふのが正解かな。
この場合、「美しい乙女」といひたいのだらうが、「美しい水車小屋」である可能性も捨てられない。もしかしたら「美しい水車小屋の美しい乙女」といひたいのかもしれない。
どちらが正しいのかはそのことばを発した本人にしかわからない。本人さへわかつてゐないことも考へられる。
係り受けがわかるやうにしたいのなら「水車小屋の美しい乙女」にすればいい。
あ、水車小屋が美しい場合はむづかしいね。
「美しい水車小屋にゐる乙女」とかかね。
でもこれ、水車小屋のことが云ひたいんぢやないんだよね。
云ひたいのは乙女のこと。
なぜさう思ふかといふと、最後に来てゐるからだ。
「乙女」の上についてゐるものは「乙女」を修飾することば。
さういふ判断がはたらくからだらう。
さうすると「美しい水車小屋の乙女」でもいいのかなあ。
いや、云ひたいのは「乙女」についてだけれども、「美しい」がどれにかかるのかはそれだけでは判断できない。
ただの水車小屋ぢやなくて美しい水車小屋にゐる乙女と云ひたいのかもしれないぢやあないか。
やはりここは「水車小屋の美しい乙女」とするのがいいのだらう。
水車小屋のことを云ひたかつたらどうすればいいのか。
「乙女のゐる美しい水車小屋」とかかな。
かうして係り受けのわかりやすい表現を心がけていくと、そのうちAIにも理解しやすい表現といはれるやうになつたりするのだらうか。
先日朝日新聞で中高生の読解力の低さをとりあげてゐた。
その記事がちよつと気になつて、国立情報学研究所のプレスリリース(pdf)をちよこつと読んでみて、そんなことを考へてゐた。
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