芝居のFOMO
毎年思ふことのひとつに、大掃除ができないといふこともある。
十二月になると、文楽があり、歌舞伎座・国立劇場・京都南座(は現在修築中なので今年はロームシアターだが)で芝居があり、土日はほとんど予定がうまつてしまふ。
掃除をしてゐる暇がない。
年末年始の休みになつてやつと時間ができたと思つたらもう大晦日だ。
大晦日に大掃除はするものではないのださうな。
ぢやあいつしろといふのか。
今年は十二月二十三日が土曜日なのでもともと休みだし振替休日もない。
世の中の人はどうしてゐるのだらう。
休みの日のあいてゐる時間をうまく使つて年賀状を書いたり大掃除をしたりしてゐるのだらうか。
芝居に行くとなると、昼の部だけや夜の部だけにしてもほぼ一日つぶれてしまふ。
やりたくないのにしなければならないと思ふからできない。
しかも予定が入りまくつてゐる。
予定はしかし、減らさうと思つてはゐる。
もうそんなにたくさん芝居を見に行かなくてもいいぢやんと思ふし、文楽も今回はさんざん考へて、鑑賞教室だけにしてしまつた。
しかし、これもまた「FOMO」なんだらうな。
「FOMO」すなはち Fear Of Missing Out、だ。
「FOMO」は現在ではSNSにアクセスせずにはゐられない状況をあらはすのに用ゐられてゐる。
SNSからはなれてゐるあひだに情報を逃してしまつた、とか、自分以外の友人たちで盛り上がつてゐて取り残されたやうな気分になつた、とか、さういふ状態をさすのらしい。
「FOMO」自体はSNS以前からあつた。
SNSに関係のない話でも用ゐられることもある。
やつがれの場合は芝居が完全にそれで、どうもあまりおもしろさうな気はしないけれど、でも見に行つたら案外おもしろいかもしれないし、といふのでチケットを取つてしまふ。
それで見に行つてやつぱりおもしろくなくて、「ああ、やつぱり来なければよかつた」と思ふこともある一方で、「案外おもしろかつたぢやん」とか「見に来てよかつた」と思ふこともないわけぢやない。
だからやめられないんだけどさ。
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