必殺仕掛人が好き
いはゆる必殺シリーズの再放送を日々見てゐる。
「必殺仕掛人」「必殺仕置人」「助け人走る」ときてゐて、このまま「暗闇仕留人」も放映してくれないかなあと思つてゐるところだ。
三作品見て、好きな順番でいふと「必殺仕掛人」「助け人走る」「必殺仕置人」かな。
なぜ「必殺仕掛人」が好きなのかといふと、話の筋が気に入つてゐる回が多いからだ。
再放送は録画をしてゐて、見る端から消してゐる。
「必殺仕掛人」は当初、なかなか消すことができなかつた。
第四話(放映してくれたんですよー。大友柳太朗がよくてねえ)くらゐ見て、「これはDVD Boxを買はう」と決め、消すことにした。
それくらゐ気に入つてゐる。
DVD Boxはまだ手に入れてはゐないけれどもね。
それでも消せてゐないのが第十二話「秋風二人旅」だ。
この回には天知茂が一人二役で登場する。侍の兄弟の役で、弟の素行に困つた兄が仕掛人に弟の始末を頼むといふ話だ。
仕掛人はきちんと依頼を果たすのだが、最後に梅安(緒形拳)は云ふ。
「もしかしたら、悪いのは依頼人だつた兄なんぢやないか」
といふやうなことを。
たいていの場合、必殺シリーズでは依頼人が悪かつたら依頼人も殺される。
さうでないと話に決着がつかないからかな。
なので、このオープンエンディング的な、実は一番悪い奴は野放し状態といふ終はり方にぐつと来てしまつたんだなあ。
必殺シリーズをはじめ、テレビの時代劇ドラマでは多くの場合、悪人は必ず処罰される。
必殺シリーズの場合だと、悪いことをした人間は必ず報復を受ける。
それを見て視聴者は溜飲を下げる。
それでいいのだらうか。
悪いことをした人間は必ず報ひを受ける、それは当然のことなのだらうか。
いやなことをされたら仕返しをしてもいいものだらうか。
現実の世の中では、答へは「否」だ。
さう思つてゐない人も多いよなと通勤電車に乗つてゐるときなどとくにさう思ふけれど、でも報復はよくない。いけないことだ。
いまの常識ではさういふことになつてゐると思ふ。
それはそれとして、やはり気持ちとしては仕返しはしたい。
でもできない。
さうした鬱憤を時代劇を見て晴らす。
晴らすだけならいいんだけどね。
さういふ話ばかり見てゐたら、「自分だつて仕返ししたい」と思ふやうになつてしまふのではないか。
なので、いまでは必殺シリーズを見るたびに「これはテレビの中のことだから」「これは作り話だから」と自分に云ひ聞かせるやうにしてゐる。
これが案外つらい。
つらいけど見てしまふんだけどね。
「必殺仕掛人」ではほかに佐藤慶の出演した第十九話「理想に仕掛けろ」も好きだ。
ちよつとあさま山荘を思はせるやうな話で、佐藤慶がカリスマ的な指導者の役を演じてゐる。
理想をよしとする左内(林与一)とそんなのうさんくさいよとする梅安とのやりとりが、いまはくどいやうな気もするが、これもいい。
あとは左内の過去の話とかもいいなあ。第八話「過去に追われる仕掛人」。
二人一役めいた話の第十話「命売りますもらいます」などはカメラワークもおもしろい。
やつぱりそのうちDVD Boxを買はう、と日記には書いておかう。
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