飯田市川本喜八郎人形美術館 懐かしのテレビ人形劇展
九月末、飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
今回は「懐かしのテレビ人形展」について書く。
「懐かしのテレビ人形展」は開館十周年を記念したイヴェントのひとつだ。
昔懐かしい形のテレビから人形たちが抜け出してくるかのやうなポスターがいい。
「懐かしのテレビ人形展」は展示室の奥にあるスタジオで開催されてゐる。
入り口を入ると三方の壁に沿つて人形が並んでゐる。
むかつて左の壁には「ひょっこりひょうたん島」「プルルくん」とそのシナリオ、入り口正面の奥の壁には「連続人形活劇 新・三銃士」、右の壁には「プリンプリン物語」、「パペットエンターテインメント シャーロックホームズ」の人形と小道具が展示されてゐる。
「ひょっこりひょうたん島」のケースは二つあつて、最初のケースにトラヒゲ、ドン・ガバチョ、ダンディーが、次のケースにはサンデー先生と博士がゐる。
人形は番組がリメイクされたときのものだらう。おめかししたかのやうにきれいだ。
最初にぱつとトラヒゲが目に入ってきて、それだけでなんだか楽しい気分になつてくるところにドン・ガバチョといふ並びがいい。
不思議だよねえ。
なんでこれだけで気分が盛り上がるかねえ。
トラヒゲ、ドン・ガバチョとくると、ダンディーがとてもダンディーに見える。
サンデー先生と博士とは遠足組の代表といつたところか。ほかの子たちも見たくなつてくるなあ。
「プルルくん」で展示されてゐるのは、プルルくんとプルルくんのママ(だらう)、それとトラくんの三体だ。
Web検索をかけてもこれといつた情報が集まつてこない番組で、残念ながら見たことがない。
原作は手塚治虫とのことだ。
1970年代に放映されたものとのことで、人形も古びてきてゐる。
今回の展示つて貴重なんぢやないか知らん。
人形のケースの隣には数冊のシナリオをおさめたケースもある。シナリオを読むことができれば、どんな内容だつたかはわかるだらう。
三銃士の人形はアトス、アラミス、ダルタニアン、ポルトス、ロシュフォールの五人で、ケースには入つてゐない。
ダルタニアンと三銃士とは前回の展示とほぼおなじポージング。
ロシュフォールはポルトスの右側ややはなれたところに四人に半ば背を向けて立つてゐる。さげてはゐるものの、剣は四人の方に向いてゐる。
三銃士とプリンプリン、ホームズの展示は写真撮影が許可されてゐる。
写真が撮れるとつひ目で見ることがおろそかになつちやふんだよなあ。
いかんいかん。
「プリンプリン物語」のケースは二つで、最初のケースにプリンプリンとモンキー、次のケースにオサゲ、ボンボン、カセイジンが入つてゐる。
プリンプリン、懐かしいよねえ。
録画が見つかつたとのことで、現在衛星放送で再放送中だ。
プリンプリンは両腕をやや広げて「ようこそ」といひたげなやうすで立つてゐる。
まつげが長い。
モンキーはそのややうしろでやはり両手を広げて立つてゐる。
オサゲも手を広げてゐて、ボンボンも同様で右手をちよつと掲げた感じ。カセイジンは腕を組んで立つてゐて如何にもカセイジンだが、ふしぎと拒絶されてゐるやうな感じはしなかつた。
三人ともプリンプリンとおなじやうに「Welcome!」と云つてくれてゐるやうに見えた。
できればルチ将軍にも会ひたかつたなあ。
ホームズのケースは二つで、ひとつにはホームズとハドソンさん、ワトソンがゐる。もうひとつのケースには小道具が展示されてゐる。
ホームズは目の動くカシラで、右の方を見てゐる。右手を顎にあて、左手は右肘のあたりにきてゐる。なにか気になるものを見つけて考へてゐるといつたやうすだ。
人形劇のときは、目の閉じるカシラのときにまるで目が動いてゐるやうに見えるのが好きだつたなあ。
ハドソン夫人は右手を前に出し左手を後ろに引いた形で、ちよつと踊りながら歌つてゐるやうなやうすで立つてゐる。
ワトソンは左手をかかげ、右手はベルトのあたりにある。「やあ」と云はれてゐる気がする。
小道具には誰の持ち物かとかどの場面に使はれてゐたものかといつた見出しがついてゐる。全部で数十点はあるのぢやあるまいか。
「消えたボーイフレンドの冒険」に出てきた「A Tale of Two Cities」なんかが並んでゐて、ちよつとうれしい。
「懐かしの」と謳つてゐるといふことは、あるていど年のいつた大人向けの展示なのだらうか。
ホームズはわりと最近の作品だし、プリンプリンは現在再放送中なので、さうとばかりもいへないだらうが。
欲を云ふなら、「プルルくん」とあはせておなじ手塚治虫原作の「風の子ケーン」を並べるとか、さうした展示も見てみたかつたやうに思ふ。
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