「人形劇三国志」の音入れ
「人形劇三国志」がNHKで放映されてゐたころ、何度かNHK放送センターに行つた。
いまだとスタジオパークといふのかな。
入口にガラスのケースがあつて人形が展示されてゐた。毎月人形を入れ替へてゐたやうに思ふ。
「関羽の死」の撮影を見学しに行つた話は何度か書いてゐる。
ほかに「音入れ」といふのがあつた。
各スタジオに使用予定が書き込まれてゐて、とあるスタジオに「人形劇三国志 音入れ」といふ予定が入つてゐた。日付と時刻はもう覚えてゐない。
「音入れ」つてなにをするのだらう。
「音入れ」といふくらゐだから音を入れるのだらう。
気になるなー。
といふわけで、ある日、友人たちとつれだつて見に行つた。
スタジオと見学者のゐる場所とのあひだはガラスで仕切られてゐる。
こちらはすこし見下ろすやうな形で中を覗くことになる。
中には指揮者とおぼしき人と管弦楽団の人々とかゐた。
「音入れ」とはすなはちBGMの録音のことだつたのだ。
BGMなので曲は途切れ途切れになる。
おなじ曲をことなる編曲で何度も演奏したりもする。
指揮者のイメージどほりにならないときもおなじ曲を何度もくりかへす。
さういふやうすをぼんやりと聞いたのだつた。
もう忘れてしまつたけれど、のちに番組を見ながら「あ、これはあの「音入れ」のときの回なんだな」とわかつたものだつた。
いま見返してみると「人形劇三国志」のBGMは実に多彩だ。
主な登場人物にはそれぞれテーマ曲があつて、ひとつひとつにさまざまなアレンジがある。
また、ある登場人物のテーマ曲から別の人物のテーマ曲へと切り替はるときのトランジション部も場面によつて違ふやうに聞こえるし、ときにはまつたくトランジション部なしにいきなり曲が変はることもある。
曹操のテーマ曲は長調のせゐか、玄徳・関羽など短調のテーマ曲と切り替はるときは大抵なにがしかトランジション部があるのだが、なにかのときにトランジション部なしにいきなり切り替はつたときがあつて、「おおっ」と思つた。
細かいよねえ。
この細かさがまたたまらないんだよねえ。
もつと音入れの見学に行けてゐたらなぁ、といまになつて思ふ。
でもまあ、無理だねえ。
渋谷にしよつ中行くなんて、できなかつたもの。
それでも可能な範囲でよく行つてゐたなあ、と、たまにNHK放映センターのそばをとほると思ふ,のだつた。
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