エレヴェータの夢
遅刻しさうになる夢をたまに見る。
行く先は学校や職場ではない。
友人との待ち合はせだつたり、芝居だつたりする。
そして、遅刻しさうになる理由で一番多いのが、エレヴェータにうまく乗ることができないといふものだ。
乗つたエレヴェータが行く先階につかなかつたり、降りてみたら全然違ふ建物の中にゐたり、そもそもエレヴェータが来なかつたり。
現実にも日々エレヴェータを使つてゐるが、なかなか来なかつたり目的階につかなかつたりして遅刻した、といふことはない。
エレヴェータのせゐで困つた目にあつたこともない。
そのせゐだらうか、夢の中でもそんなにあせることはない。
「これは夢だから」とわかるときもある。
ちよつとWeb検索をかけてみると、エレヴェータといふものは昇降するものだから運気に関はつてゐる、だとか、不安定な状態をいふ、だとか、そのほかにもいろいろと出てくる。
いまの暮らしが安定してゐるとは思はないけれど、かといつてエレヴェータの夢を見たあとさらに不安定になるかといふとさうでもないやうに思ふ。
こころに不安を抱へてゐるときに見るのだとしたら、のべつまくなしに不安なのだらうな。
夢を見てゐるときに「これはエレヴェータに乗る夢だ」と思ふことはほとんどない。
宿やなにかの出入りに使用する。
移動の手段として使ふだけなので、エレヴェータが夢の中心だとは思はない。
目覚めてあとで考へると「あれはエレヴェータの夢だつたのだな」と思ふ。
なぜ電車やバス、タクシーではないのか。
乗り物の方がよほど昔から乗つてゐるし、いまだつてほぼ毎日のやうに使用してゐるのに。
もしかするとエレヴェータの夢と思つてゐるものは、「移動しない/できない夢」なのかもしれないな。
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