飯田市川本喜八郎人形美術館 2017 エントランスその他
三月から四月にかけて飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
二月末に展示替へがあつて、はじめて見に行つた。
今回は「人形劇 三国志」と「人形歴史スペクタクル 平家物語」の人形が展示されてゐる。
人形アニメーションの展示はない。
これが意外とさみしい感じがした。
今回の展示は三国志については「この場面に出て来る人々の紹介」といつた趣が強い。
「黄巾の蜂起」「宮中の抗争」といふやうな主題がつけられてゐて、その主題に関はる人物が展示されてゐる、といつた印象を受けた。
特撮ヒーローやプリキュアものなどで、とくに番組開始直後はヒーローやプリキュアひとりひとりの変身シークェンスや名乗りをていねいに演出する、その感じに似てゐる。
まだ公式ページの展示内容が新しいものに切り替はつてゐないので、主題は過去の展示のものを使用してゐる。
展示内容がわかり次第、正しい主題に改修するつもりでゐる。
展示室の入口を入ると、すぐ右手に紳々と竜々がゐる。
向かつて左側が紳々、右側が竜々だ。
紳々は片手を掲げて立つてゐて、竜々は腕を胸のあたりに掲げてゐる。
このふたりの裾の処理がおもしろい。
後ろ身頃の裾が地面につくくらゐ長くなつてゐる。これまでの展示ではそのまま垂らしてゐるか、帯近くまでたたんでたくしあげてゐたやうに記憶する。
今回はラフな感じになるやうに台座にピンでとめてあつた。
他の武将はともかく、紳々竜々ならありうる。
今回は団体のお客も多く、美術館の方が紳助竜介の名前を出して解説してゐるのを聞く機会もあつた。
紳助竜介の名前はいつまで通じるのかな。
入口を入つてすぐ左手のケースには張梁、張角、張宝、盧植がゐる。
ケースの主題は「黄巾の蜂起」だ。
ケース二つを使つて、張角・張宝・張梁と盧植とはちよつと離れて展示されてゐる。
張梁、なあ。
人形劇にはそれほど出番がないと思ふ。
三国志に詳しい人なら「張梁らしい展示だなあ」と思ふのかもしれないけれど、人形劇の知識しかないとチトわからない。
今度はもうちよつと「三国志演義」などを読んでから行くことにしやう。
張角、張宝、張梁の三人は、一見あまり似ては見えないけれど、実はよく似てゐる部分がある。
顎の形だ。
あと衣装にもお揃ひなところがある。
さういふ点に気づくと俄然見るのが楽しくなつてくる。
盧植には、これまでの展示で感じた厳格さうな雰囲気はあまりない。
また、初登場のころの村の寺子屋の先生のときのやうな好々爺然とした感じもない気がする。
でも、どちらかといふとやさしげかな。
玄徳の師匠といふ点が feature されてゐるのかもしれない。
次のケースの主題は「宮中の抗争」。
何后、弘農王、陳留王、何進、董太后がゐる。
前回の展示では実にドラマティックな場面を展開してゐた何后と董太后とは、今回はまた違つた趣で展示されてゐる。
何后はこちらを向いて立つてゐる。ほんのわづかだけ顎をあげてゐてこちらを見下してゐるかのやうだ。
ああ、何后らしいなあ。
何后つて、かういふ感じだよなあ。
何后の背後の高いところに弘農王と陳留王とが並んでゐる。
どちらも似たやうなポーズを取つてゐる。
拳を腰にあてて両肘を張つたポーズだ。
弘農王がぼんやりとした印象を与へるのに対し、陳留王はひどく生意気さうに見える。何后とはまた違ふけれどでもやつぱりこちらを見下してゐるやうな雰囲気がある。
人形劇では陳留王の方が賢いやうに描かれてゐる。
賢いのはいいけれど、賢しげなのはどうかなあ。
ずつと見てゐると弘農王の方が可愛く見えてくる。
何進はエプロンのやうな前垂がよく見えてうれしい。赤い地に鳳凰だらう、二羽の鳥が向かひあつてゐる図案で、いつかも書いたけれど「何進のくせに生意気だぞー」といつも思ふ。
董太后はおとなしげに立つてゐる。
こちらから見ると視線をはづしてゐるやうに見えるので、気遣はしげでもある。
「宮中の抗争」といふものは、あんまり表立つたものぢやないんだらう。
水面下でさまざまな取引ややりとりがあつて、表面上はなにもなさげにしてゐる。
董太后を見てゐてそんな印象を受けた。
以下、つづく。
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