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Friday, 21 April 2017

飯田市川本喜八郎人形美術館 2017 曹操の王国 その二

三月から四月にかけて飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
二月末の展示替へ後のやうすを見に行つた。

前回は「曹操の王国」のケースの武将と曹操とについて書いた。
ケースには右側から曹仁、夏侯淵、許褚、夏侯惇、典韋、曹操、郭嘉、徐庶、仲達、荀彧、程昱、荀攸がゐる。
今回は文官について書く。

徐庶が曹操の方にゐるといふのがちよつと目を引くと昨日は書いたが、このケースで一番異彩をはなち目立つてゐるのは仲達である。
仲達を思ひ出すとほかの人のことを忘れてしまふくらゐの勢ひだ。
まづは右側から順番に行くことにしやう。

徐庶が曹操のケースにゐることは以前もあつた。
心ならずもここにゐる、といふ風情だつたと記憶する。
今回もそんな感じで、ケースのかなり前方にゐて曹操はじめほかの人たちに背を向けてゐるといふ趣だ。
人形劇の徐庶は曹操に与することを潔しとせず、献策もなにもせずにあの世に行つてしまふ。
赤壁の戦ひ直前に龐統に意見を聞いて逃げて行くのは許攸といふことになつてゐる。
さういへば今回許攸がゐない。
徐庶よりも許攸の方が人形劇の三国志としてはこの場にゐるのがふさはしい気もする。
しかし「心服しない人間をも己が傘下のものとする」といふのが曹操らしいやうにも思ふ。
玄徳や孫権にはない点でもある。

曹操の左隣、徐庶の後方には郭嘉がゐる。
神経質さうな面持ちでこちらを向いて立つてゐる。
人形劇の郭嘉といへばいい男、といふことは飯田で郭嘉を見るたびに書いてゐる。
我が家では孔明が出てきたときに「前の人(郭嘉)の方がいい男だつたね」といつたものだつた。
ところが飯田で見る郭嘉はそれほどでもない。
些細なことにすぐ「きぃっ」となりさうな、あまり度量も大きくなささうなやうすに見える。
あらためて人形劇を見返してみると、初登場のころの郭嘉にはさうした神経質さうな印象がある。
回が進むにつれて、次第に印象が変はつていく。
金花とひそかに会ふときの黒装束姿なんてほんとにやうすがいい。
関羽に投降をうながすときのやりとりも「男たちはわかりあつた(。わかりあへないことを)」といふ感じで見応へがある。
操演や映し方によつて変はるんだらう。
さう思つてあちこちから郭嘉を見ると、これまたいい男に見えてきたりもする。

郭嘉の左、ちよつと高いところに仲達がゐる。
曹操の左側にゐる人形の中心は仲達といへる。
いやー、ちよつと、仲達さんつてば、楽しさうぢやあありませんか。
うつかりさう声でもかけやうものなら知らぬ間に牢屋につながれて首のひとつも落とされてしまふのかもしれない。
仲達は躰をやや左に向け、胸をそらして右下を睥睨するやうな表情で立つてゐる。
せせら笑つてゐるやうにも見える。
面従腹背の徒、とでもいつたところか。
表では曹操はじめその他の人々に同調しておいて、裏ではかうして「バァカめ」とみなを嘲笑つてゐる。
仲達らしいかと訊かれると返答に窮するが、仲達にかういふ印象を持つてゐる人がゐるといふのはうなづける。

仲達のやや左前方に荀彧がゐる。
人形劇なので老人だ。
徐庶の位置を考へると、荀彧もまた蚊帳の外の人といふあつかひなのかもしれない。
なんで老人にしてしまつたかね、といふのは、人形劇の脚本なり演出なりにいふべきこととわかつてはゐながら、毎回思はずにはゐられない。

仲達の左には程昱がゐる。
地味だと思ふのは、仲達のとなりにゐるからだらう。ちよいと分が悪い。
人形劇では程昱が一番活躍してゐるやうに思ふんだがなあ。
配置的には郭嘉と対になるやうに並んでゐるので、曹操のためにバリバリ献策して働いた人、といふことだらう。

ケースの左端、ちよつと別あつらへのやうなところに荀攸が立つてゐる。
荀攸は人形劇では一回くらゐしか出番がなく、あつけなく殺されてしまふ。
人形劇を見てゐると、「ここは荀彧なのになー」とか「演義だと荀攸なんだけどなー」といふ箇所がしばしばある。
さういふときに出てきてくれてたらよかつたのに。
おそらく晩年の曹操の横暴を印象づけるエピソードに出すために作られたんだらうから仕方がない。
さう思ふと不憫である。荀攸も荀彧も。

以下、つづく。

「項羽と劉邦」展その一はこちら
「項羽と劉邦」展その二はこちら
「項羽と劉邦」展その三はこちら
エントランスから宮中の抗争まではこちら
連環の計はこちら
玄徳の周辺 その一はこちら
玄徳の周辺 その二はこちら
曹操の王国 その一はこちら

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