評価無用
タティングレースのモチーフつなぎは十五枚目までつないで十六枚目を作つてゐる最中である。
Mary Konior の Tatting with Visual Patterns に掲載されてゐる Masquerade といふモチーフをひたすらつないでゐるところ。
作りはじめてからだいぶ時間がたつてしまつたこともあり、モチーフのサイズがだいぶ不揃ひになつてきてゐる。
前に作つたものと見比べながら糸の引き加減をきめてはゐるのだが、どうしてもうまく糸が引けなくて力任せに引いたらちいさくなりすぎてしまつた、なんてなことがときたまある。
どうやつたらきつちりおなじ形に作れるのだらうか。
時折思ふ。
小学校の習字の時間のことだ。
かきかた、といつたかもしれない。
おなじクラスの子の提出したもののなかには、お手本と寸分違はぬ字が並んでゐたりしてゐた。
これがやつがれにはできない。
お手本をなぞるときから線からはみ出してしまふ。
最近はどうだか知らないが、以前はフィギュアスケートにはショート・プログラムの前にコンパルソリーといつて滑つた軌跡が決められた形になるやうにして三度くり返す、といふのがあつたと聞く。
三度くり返して、三度とも軌跡がきつちり重なるのがいいとされてゐたやうに思ふ。
ムリだな。
絶対ムリ。
さう思ふのだが、多分いま活躍してゐるフィギュアスケータたちにとつてはお手の物なのだらう。
かきかたでいへば、お手本の上をなぞるのだつたらお手本どほりに書けばいい。
そのはずなのだが、それができない。
なぜかはみでる。
丁寧に書かないからか。
丁寧に書かうとすると、今度は線がふるへてうつくしくない。
一事が万事そんな調子である。
それでもがんばつて少しでもお手本に近づけると評価されるのは努力点が認められるうちだけだ。
すなはち学校に通つてゐるあひだだけである。
一事が万事そんな調子で、でもまあ、タティングレースで他人から評価をもらふわけぢやないからな。
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