先代の幸四郎の「鬼平犯科帳」を見てゐる・裏
先代の松本幸四郎の「鬼平犯科帳」を毎回楽しみに見てゐる。
昨日もさう書いた。
これまで見た六十ばかりの話のうち、「これ!」と思つたものは四話。
それなりにいい確率だ。
いい確率ではあるものの、残りの五十六話はどう見てゐるのか。
「あんまり楽しくないな」と思つて見る話もあれば、昨日書いた四話とは違ふノリで見る話もある。
加東大介の演じる岸井左馬之助の出る回は、高麗屋の鬼平とのやりとりが楽しみだ。
やりとりが楽しみなのなら昨日書いた話とおなじぢやあないか、といふ向きもあるかもしれない。
違ふんだな。
左馬之助と話をしてゐるときの鬼平は、ふつと「本所の銕」に戻るときがある。
鬼平から本所の銕への変はりやうが実に自然だ。
そして、若いころはさうだつたのだらうやうなちよつとやんちやな感じだとか、ワルだつたころの雰囲気とかを見せるのがたまらない。
加東大介の左馬之助もいい。
可愛いんだよなあ。
ふつくらしてゐるからかもしれないし、鬼平がこども扱ひするからかもしれない。
あるいは平田昭彦の天野甚蔵だ。
佇まひがいい。
鬼平から書状を受け取るときの、
- 畳の上に座る
- 書状を受け取る
- 開く
- 読む
- 閉ぢる
- 返す
たしなみある侍はかくもあらんか、といつたやうすなのだ。
「たしなみある侍」が実際どういつたものなのかは知らない。
知らないけれど、「かうだつたんぢやないかなあ」と思はせるものが平田昭彦の天野さまにはあるのだ。
オープニングのキャストのところに名前があるとうきうきする。
「むかしの男」では駕籠かき姿も披露してくれる。
竜崎勝にしてもさうだが、平田昭彦も健在だつたら播磨屋の鬼平にも出たのかな、出たとしたらどんな役だつたらう、と、つひつひ「たられば」を考へてしまふ。
そんな感じで、「うわ、すごい、中車(先代)(第一話)」とか、「林与一、よすぎる(第二話)」とか、「西村晃のこの目!(第四話)」とか「ああ、もう、アンヌ隊員(菱見百合子)つたらそんなに愛嬌振りまいて……(第五話)」とか、そんな見方をしてゐる。
山形勲もよかつたし、中村竹弥のときは話自体も引き込まれるやうだつた。
浪人姿の天本英世を見て、「背の高さによる怖さつて、やつぱりあるよなあ」としみじみ感じた。クリストファー・リーもその伝だ。
岸田森の出た回の次の回に勝呂誉が出てくれば、すは「怪奇大作戦」かと思ふしね。しかも勝呂誉の役名は源「助さん」だし。
天本英世が背の高さなら岸田森は小柄なところがよけいにあはれをもよほすのかもしれないなあと思つたりね。
鈴木瑞穂が悪役でなくて、しかもだまされる役で出てきてものすごく新鮮だつたなあ。
そんなわけで、日々「ミーハー」な感じで見てゐるのだつた。
第二シーズンになると平田昭彦は出なくなるんだよね。
ちよつとさみしい……。
クズ男を演じさせたら天下一品の河原崎三兄弟の次男の辰蔵も第一シーズンまで。第二シーズンは播磨屋になる。これはこれで楽しみだ。
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