思春期とは
「中二病」といふことばの遣はれ方を見てゐると、自分はそれなのだらうといふ気がする。
しかるに「中二病」といふのはほんたうにはどういふ意味なのだらうか。
Wikipedia を見てみた。
伊集院光がラジオの深夜番組で遣ひはじめたことばで、「思春期に見られる背伸びしがちな言動」を自虐する語、なのださうな。
小学生のころ、中学生になると両親と街を出歩くことや旅行に出かけることを避けるやうになる、といふ話を聞いた。
理由はいろいろあるが、かんたんに云ふと「気取つてゐるから」だ。
もう親となんか一緒に出歩きたくないんだよ。
さういふことなのださうな。
それはひどく様子の悪いことに思はれて、爾来世間的には大人と呼ばれるやうな年齢になつてからも親から誘はれたら一緒に旅行に行つてゐた。
親兄弟と街を歩き、旅をすることは全然恥づかしいことなんかぢやない。
親と連れ立つて歩くことを忌避することの方がよほど様子が悪い。
さう思つてゐたからだ。
おそらく、思春期にさしかかる手前のやつがれは、思春期にまつはることどもがとにかく気にくはなかつた。
かつこ悪いと思つてゐた。
自分は絶対思春期の人間がするといふあれやこれやはしないのだと心に誓つてゐた。
あるいはそのころすでに思春期にさしかかつてゐたのかもしれない。
他人とは違つた自分でゐたい、自意識の過剰なるがゆゑに他と己とを分かたうとする。
思春期か。
中二病か。
思春期が文字通り「春を思ふ時期」をさすのなら、やつがれには思春期はなかつた。
思ふ季節があるとしたらそれは秋で、こどものころから変はらない。
これまたWikipediaにあるやうに「心身ともに子供から大人に変化する時期のこと」といふのなら、身はともかく、心はいまだに大人になつてはゐない。
やつがれには若いころといふ時期が存在しなかつた。
ただ未熟だつただけだ。
そして今でも未熟である。
どうやらこのまま大人にはなれさうにない。
思春期か。
中二病か。
さうなんだらうな。
最近どこかで「内面をさらけ出さずにうちに閉ぢ込めるのが思春期」といふ説を見かけた。
思春期を過ぎた人間は、内面をさらけ出し、うちに閉ぢこめたりはしないのだらうか。
え、さうなの?
さうは思へないけどな。
それとも世間的には「大人」と云はれるやうな年になつても「内面をさらけ出さずにうちに閉ぢ込め」てゐるやうな人は、思春期まつただ中なのだらうか。
むづかしいわ、思春期。
まちつと考へてみることにせむ。
まさかこの年になつて「思春期とは」とか考へるとはね。
本来思春期にあたる時期に肩肘張つて「自分は絶対そんなことはしないのだ」とか頑なに拒絶してゐたのがいけなかつたんだらう。
悔やんでも後の祭りとはこのことだ。
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