映画、見に行く?
「スタートレック ビヨンド」を見てきた。
上映前の予告篇を見て、「自分は今後も映画を見続けるのだらうか」と考へてしまつた。
今後も映画を見続けるのだとしたら、「Dr.ストレンジ」のやうな映画を「楽しみ!」と思へるやうでないとダメだらう。
「Dr.ストレンジ」は、ちよつと楽しみにしてゐた映画だつた。
でも予告篇を見て「見には来ないだらうなあ」と思つてしまつた。
なぜさう思つたのか。
壊れてゆく都市の映像とか、なんかもう見飽きたよ、と思つてしまつたからだ。
うん、CGだね。すごいね。真に迫つてるよね。きつと3Dで見てほしいんだよね。
CGが嫌ひなわけではない。
どちらかといへば好きな方だ。
嫌ひだつたら「スタートレック ビヨンド」とか見に行かないもの。いくら「スタートレック(宇宙大作戦)」が好きだとしても。
黒澤明だつたか、業火に焼かれた廃墟を撮るときに、大道具担当に「これぢやダメ」的な話をしたといふのを聞いたことがある。
焼ける前の建物がどういふ状態だつたのか、考へて作つてないだらう。
さういふのである。
CGだつておなじことだと思ふんだよね。
もしかすると最近では壊れゆくスカイスクレイパー(とはいまは呼ばないのかもしれないが)のやうすを描かうとしたら、元の形と壊れたやうすとを指定すればあるていどはコンピュータが計算してそれらしく壊れてゆく姿を描き出してくれるのかもしれない。
つまりその計算するプログラムなりなんなりを作つた人がゐるつてことだよね。
それつて、すごくない?
または「スター・ウォーズ」だ。
エピソード1のときにはいかにも「CGで作りました」「CGで作れるのはここまでです」みたやうな映像だつた。
それが、エピソード2、エピソード3と進むにつれてどんどん進化していく。
エピソード1のなにがダメかといふと、映像がすごすぎてエピソード6より前のことのやうには見えないことだ。
過去のことなんだよね?
過去のことのはずなのに、どこからどう見ても未来のことに見える。
それがどうだらう。
エピソード7の映像なんか、ちやんとエピソード6につづくものに見えたぢやあないか。
すごい。
でもそれも、エピソード1あつての進化なんだよね、たぶん。
それを考へると、壊れゆく都市の映像を見て「もう見飽きたよ」と思ふのは、映像のせゐばかりぢやあないといふことだ。
さういふ話の展開に飽きた、といふことでもある。
世の中の映画はさういふ話ばかりでもない。
予告篇の中には「聖の青春」もあつたし。
「聖の青春」を見に行くのだらうか。
「見に行くんだらうな」と思ひつつ、そんなに積極的に見たいとは思はない。
将棋を扱つたフィクションを見たり読んだりしても、実際の対局よりおもしろいものに出会つたことがないからだ。
将棋を扱つたフィクションを鑑賞して「おもしろい」と思つたあとに実際の対局を見ると、後者の方がはるかにおもしろい。
「聖の青春」は実際にあつた話をもとにしてゐる。
対局の内容などは実際の対局にかなり近いだらう。
ゆゑに「見に行くんだらうな」と思つたわけだけどもさ。
でも「見に行かなくちや」といふ気にはならない。
お涙頂戴もの系は苦手なのだ。
苦手といふか、好んで見に行くといふのがわからない。
楽しいものの方がいいぢやん、と思つてゐるからで、それはもう個人の好みの問題だ。
たまたま今回は予告篇にあつた映画で「これが見たい!」といふものがなかつただけ、といふ話もある。
でも何作も紹介されたのになー、といふ思ひもある。
などと云ひつつ、「Dr.ストレンジ」は見に行つてゐるやうな気もしないではない。
予告篇と本篇とはまた別ものだつたりするからね。
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