目的なきタティング
タティングレースのネクタイは端糸の始末まで終はつて、まだ整形をしてゐない。
次に作るものも決めてゐない。
とりあへず糸のいつぱい巻いてあつたシャトルがあつたので、それでモチーフを作つてゐる。
糸は Puppy の New 2Ply。極細毛糸だ。
極細毛糸で試してみたかぎり、いまのところこれが一番毛糸に向いてゐるといふモチーフを作るつてゐる。
中央に十二個のピコのあるリングがあつて、周囲をリングだけで囲む円形に近いモチーフだ。
すなはち、シャトルひとつだけで作るモチーフである。
いはゆるロゼッタモチーフなどのリングとチェインとをくりかえすかたちのモチーフも作つてはみたけれど、毛糸にはあまり向かないやうに思へた。
なぜ向かないかといふと……うーん、なんでだらう。
毛糸は綿のレース糸に比べて弱いので、巻いたりほどいたりをあまりくりかえしたくない、といふこととはある。撚りも弱いしね。
八重洲の展覧会のときに盛本知子は「最近の極細毛糸でタティングすると糸が切れるのでできない」と説明してゐた。
藤戸禎子が一等を受賞した極細毛糸で作つたおくるみが展示されてゐたのだつた。
パピーの New 2Ply ならできるけどな、と思つたけれど、赤ちやん用の毛糸の極細ではできないのだらう。おそらく。
それに、パピーの New 2Ply だつて、シャトルへの巻きほどきをなんどもくり返してゐたら切れてしまふのかもしれない。
そんな状態だつたら「タティングできない」つていふよね。
展示されてゐたおくるみの大半はシャトルひとつでできるモチーフで作られてゐたと記憶してゐるけれどもね。
いづれにしても、極細毛糸でタティングするのは楽しい。
スティッチがふつくらとしていい感じだし、端糸の始末が楽だ。
リングやチェインの大きさ長さがそろへづらいといふことはあるけれど、それよりもふつくらしたスティッチを見てゐると楽しい気分になる。
それと、綿のレース糸より弱いのでゆつたりした気持ちでタティングするといふのもあるかもしれない。
せかせかした気持ちでタティングするには極細毛糸は向いてゐないかも。
そんなわけで、なにを作るといふ目標もなく毛糸を結んでゐる。
たまにはさういふのもいいんぢやないかな。
なにかを作らうと必死になるばかりがいいわけぢやない。
ただ目的なくシャトルを動かすのもいいものだ。
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