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Wednesday, 24 August 2016

Writer's Block考

世の中には、思つたこと感じたことを文章として書くのが大層苦手といふ人が一定数ゐるのださうだ。

ちよつと前にTwitterのTimeLineにRTされてきたつぶやきから知つた。

そのつぶやきは、なぜ読書感想文はむづかしいのかについて述べてゐた。
Twitterでつぶやいてゐる人々にはわからないかもしれないが、と前置きして、世の中には自分で思つたこと感じたことを文章として書き表すことを苦手とする人がゐる、といふやうな内容で、さらに読書も必要とする読書感想文といふのはさういふ人にとつては非常な難関なのだ、といふ。

Twitterで日々つぶやいてゐる人があれだけゐて、それでもさうなのか、とちよつと感慨深く思つた。

だが待てよ。
もしかしたらTwitterで日々つぶやいてゐる人のつぶやきの大半は、なにかしら interactive なものなのかもしれない。
フォロワーとのやりとりとか、連絡とか、そんな内容が多いのぢやあるまいか。
#この際botのことは考へないことにしたい。

人とのやりとりと自分の思つたことを書くのとは違ふ。
他人とやりとりする場合、相手からのことばに対応する必要があるので、そこでうまくことばが出てくるといふことがあるのかもしれない。
外から「つぶやけ」といふ刺激があるわけだ。
相手も多弁な人であるならば、そこで大量にやりとりが発生することになつて、それであれだけの数のつぶやきになるのぢやあるまいか。

一方、自分で思つたことをつぶやくには、自分から「つぶやかう」と思ふ必要がある。
なにもそんな大層なことではないのだが、外的要因よりは、「これについてつぶやきたい」といふ内から生じる衝動のやうなものがいる。

この内的衝動が発生しやすい人と発生しにくい人がゐるんぢやあるまいか。

さらにいふと、さうした内的衝動が発生しても、つぶやけない(書けない)ときがある。
おそらくこれが世に云ふ「writer's block」といふアレなのではないかと思つてゐる。

なにか書きたいことがあつてノートに向かふ。
でも書き出せない。
書きたいことはわかつてゐる。
かう書きたいといふ意思もある(ないときもある。これはこれで苦しい)。
なのに書き出せない。

さういふときが往々にしてあるんだな。やつがれだけのことかと思つたら、どうやらさうではないらしい。

人生チャフまみれで、このblogやTwitterでもほんたうに書きたいことは書かずにその周辺のことばかり書いてしまふ。
ずつとさうして暮らしてきたからそれでほんたうに書きたいことが書き出せないのではあるまいか。
さう思つてゐた時期もあつた。
でも違ふ。

この「書きたいのに書けない」といふ状態は、「ほんたうのことを書くのは気が引けるから」とかさういふ恥づかしさとは違ふ。
や、まあ、さういふ恥づかしい思ひもないわけぢやあないけれど、それだけぢやないんだな。
心のどこかに、書きたいことを書き出さないやう制御してゐる部分がある。
それが強烈に働くときとたいして作用してゐないときとある。
どうやらさういふことなのではないか、と、ここのところ思つてゐる。

昨日の午後、久しぶりにちよつとだけまとまつた時間が取れたのでノートに向かつてみた。
ここのところ書けてゐなかつたので、だいぶ書く量と速度とが落ちてしまつてゐる。
昨日は、MD NOTEBOOK の無地の文庫サイズにだいたい原稿用紙1.5枚くらゐでまとまつた内容を4つ
ほど書いた。
ひとつ書くと別に書きたいことができてしまひ、延々と書き続けることになる。
時間の制限がなかつたら、まだ書いてゐたことだらう。

でも書きながら思つてゐた。
この内容をかう書きたいわけぢやない。
もつと違つたことが書きたい。
それでことばをつらねていくうちにどんどん長くなる。
別段誰が読むわけでもなし、のちに推敲するわけでもないからとにかく書く。
ものすごく書けてゐるやうでゐて、心の中では「違ふんだ。かういふことが書きたいわけぢやない。もつと違ふことを書きたいと思つてゐるのに」といふわけで、満ち足りず、さらにノートを汚していく。

なんなんだらうね、これは。
語彙に乏しいから書きたいやうに書けないのだらうか。
これはある。
こどものころあまり本を読まずに育つたので、おそらくやつがれの語彙は貧弱だ。貧弱でなければウソだ。

語彙が豊富ならこんな思ひをしなくてすむのだらうか。
それもなにか違ふ気がする。

とにかく、書きたいことを書きたいやうに書かせてくれない力が、自分の内部で働いてゐる。
そんな気がする。

そして、先日TimeLineで見た「世の中には思つたこと感じたことを文章に書き出すことの苦手な人がゐる」といふのは、かういふ状態に近いのではあるまいか、などと考へたりもするのだつた。

うーん、全然近くないか?
かへつて遠いのかな。
うむ。

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