助六の紫 虎三の紫
タティングレースのネクタイは、進んではゐるものの、進んでゐるやうには見えない。
ネクタイの両端にひし形のモチーフがつく。そのモチーフとモチーフとをつなぐ部分の折り返し地点になかなか到達しないのだ。
エジングのやうな部分だ。
ひし形のモチーフの周囲を縁取りつつモチーフとモチーフとの連結部を作つていくのだが、これがなかなか長くならない。
ジャボ風にする予定なのでそんなに長くするつもりはないんだけどなー。
そんなわけで、進んではゐるけれども目に見えた進捗はない。
長さを確かめながら結んでゐるのも敗因のひとつかと思ふ。
だいたいいくつ作つたら終はり、といふのを最初に割り出さなかつたのがいかんな。
いまから割りだしてもいいのだが、なんとなくさういふ気力はない。
作りつついまさらながらに思ふのは、やはり白か生成、もしくは黒にするのだつたなあといふことだ。
その方が使ひやすさうな気がしてきたのだつた。
もともとは、白や生成だとお上品に過ぎて使ひづらいのではないかと思つた。
それで江戸紫色にしたのだつた。
江戸紫色だと服の色を選ぶかもしれないが、白や生成のもつ上品さがちよつと薄れる。
その方が使ひやすからう。
さう思つた。
いまでもさう思つてはゐる。
しかし紫といふのはそれはそれで使ふのがむづかしい色である。
色はなんでもさうか。
でもなー、赤とかだつたら黒とあはせればいいやうな気がするし、青でも然りな気がする。
黄色を黒とあはせるのはちよつと派手な気がするが、だつたらチャコールグレーとか紺とあはせればいい。
しかるに紫。
黒とあはせるとアヤシくなる可能性がある。
赤や青とはちよつとむづかしいな。
白ならなんとかなるかもしれないが、生憎白い上着を持つてゐない。
それを考へると助六さんとか「鬼一法眼三略巻」は「菊畑」に出てくる虎三実ハ牛若丸とかの衣装つてすごいよなー。
あの紫の使ひ方。
助六さんは黒が大部分をしめてゐるからいいのかなあ。
でも虎三。
あの衣装を着こなせるつて並大抵のことぢやない気がするよ。
衣装負けしさうだもんね。
そんなわけで、いま作つてゐるタティングレースのネクタイも、できあがつたらそのまましまひ込まれる運命にあるのかもしれない。
作るのが楽しければそれでいいのである。
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