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Monday, 08 August 2016

なんとなくな世の中

先週はあまり編む時間はなかつたのだが、なんとなく編めてしまつた。
Regia のくつ下毛糸で編んだ Jaywalker である。

Jaywalker

この「なんとなく」といふのは噺家の柳家さん喬の口癖のやうで、マクラなんぞを聞いてゐるとしばしば出てくる。
これがなんとなくいい。
なにをかくさう、やつがれもうつかり「なんとなく」と書いてしまひがちだ。
しかし、世の中は「なんとなく」よかつたり「なんとなく」悪かつたりするものなんぢやあるまいか。
学校に通つてゐた時分、国語の教科書に載つてゐる古文なんぞを読むとやたらと「などとて」とか出てきて、「さうだよねー、世の中、さうさうきつぱり云ひきれることばかりぢやないよねー」などと思つたものだつた。

もとい。

この毛糸はとにかく色が鮮やかでにぎやかで、いふなれば派手すぎる。
夏のこの時期に編むのにはなはだ合はない。
さう思ひつつも編めてしまつた。
かういふ色こそ今の時期に向く、といふ考へかたもあるしね。
かういふ色合ひは春や秋には向くまい。

できるだけ柄はそろへてみたつもりだが、最後の最後でちよつと足りなかつた。
つま先の部分ね。
編み方どほりに編んだら先端の赤い部分が片方は短くなつてしまつた。
残念。

写真のあと、水通しをして乾かした。
が、履くとしてもまだまだ先のことだらう。
九月も暑いといふしね。
しかも今年の暑さは気温が高いといふよりは湿度が高い気がするんだよね。
まだ今年は氷枕を出してゐない。
例年、暑くて寝苦しくなつてくると氷枕を使つてゐる。
今年はまだだ。
暑くて寝苦しくないわけではない。
なんとなく、氷枕だと冷えすぎるやうな気がするからだ。
気温自体はそんなに高くないからだらう。
なぜそんな気がするかといふと、夜になるとセミが鳴きやむことが多いからだ。
一説に、セミは二十五度を越えると鳴きはじめるといふ。
ほんたうかどうかは知らないけどね。
しかし、ある一定の温度を越えたら鳴くといふのはありさうだ。
そして、暑くて寝苦しいと感じるにも関はらず、セミの声のしないことがある。
気温はそんなに高くないんぢやあるまいか。
湿度が高いのがつらいのぢやあるまいか。
そんな気がするのである。

これまであまり「避暑に行かう」などとは考へたことのない人生を送つてきた。
そんなやつがれが、この夏は北軽井沢方面に行くつもりでゐる。
避暑に行くわけではない。
東京マッハといふ公開句会に行く。
最初は行かないつもりだつた。
会場であるルオムの森にどうやつてたどりついたらよいのかさつぱりわからなかつたからだ。
しかし、ゲストが谷川俊太郎だといふ。
前回の東京マッハのゲストは池田澄子と村田沙耶香とだつた。
池田澄子が開口一番云つたことに「ことばに意識的に接してゐる人つてかうなんだー」と深く感銘した。
また、村田沙耶香のとつぴな発想に、「俳句の読みつて、自由なんだなあ」とも思つた。
谷川俊太郎もまた、なにかおもしろい(intriguingな、とでもいはうか)ことを云ふのぢやないか。

といふわけで、追加席の販売があつたので、行くことにしてしまつた。

ところで、軽井沢は涼しいところだが、北軽井沢は寒いところなのだといふ。
試みに昨日Webで北軽井沢の天気を見てみたら、気温が二十四度とある。
夜の気温ですか?
さう問ひたくなるのももつともだ。

夏用の巻物はいくらもあるけれど、この機会に新調するかな。
といふので編み始めたのがこれである。

Lacy Baktus in Progress

パピーのピマデニムで Lacy Baktus を編んでゐる。針はちよつと大きめの7号だ。
Baktus でなく Lacy な方にしたのは、その方が糸がすくなくてもなんとなく大きめにできるんぢやないかと思つたからだ。
それと、夏使ふのだしね、といふのもある。
エストニアでレースのショールが編まれたのは、夏でも夜は冷えるからだといふ。
まあ、そんなことを思ひ出しつつ編んでみた。

問題は、毛糸とちがつて、ちよつと間違へると糸が元に戻らないことだなー。
増やし目をする位置を間違へてしまつて、その場で目をはづしたら、糸がだらんとしたまま戻らなくなつてしまつた。
毛糸だと整形のときに気をつければうまくおさまつたりするけれど、綿の糸だとどうだかなあ。

これを「新・座頭市」の再放送を見ながらちよこちよこ編んだ。
「新・座頭市」は音楽が富田勲(誤変換ではない)ではないのね。
ちよつと残念。
あと市つつあん、髪の毛伸びすぎぢやあないか知らん。
まあしかし、いきなり勝新太郎みづから監督した作品だつたり、辰巳柳太郎に岸田森が出てきたりして、余は満足ぢや、なのだつた。

世の中、捨てたもんぢやないな、と、なんとなく思つたり、ね。

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