ネクタイ再開
タティングレースのネクタイは、ちびちびと進んでゐる。
先日、らしくないことをした結果モチーフ作りに失敗してしまひ再開してゐない、といふ話を書いた。
らしくないこととは、糸の有効活用だ。
シャトル(Aerlit を使つてゐるので正確にはボビン)にあまつた糸を見て、モチーフを作るには足りないが外周のチェインを作るのには十分の長さがあることはわかつてゐた。
ゆゑに、糸を有効活用しやうとして気を取られ、リングをつなぐことを失念してしまつた。
かういふとき、世の Tatters はほどくのださうな。
ほどかないな。
やつがれの人生にそんな時間の余裕はない。
タティングレースの目をほどくのにどれだけの時間と労力がかかるか考へて、その時間と労力とでほかにどんなことができるか考へるとさういふ決断にたどりつく。
「でもそこまでに至るのに費やした時間と労力とを考へたら、ほどくでせう?」といふ向きもあらう。
あるいはほどくことこそ糸の有効活用なのではないか、とか。
さういふ考へ方は「サンクコスト」に直結するので、できるだけしないやうにしてゐる。
やりなれない「糸の有効活用」なんぞをしやうとして、それで失敗してしまつた。
そんなわけですつかりやる気を失つてしまひ、ここしばらくはほとんどタティングをしてゐなかつた。
再開したことに理由はない。
単に「そろそろやるか」と思つた。
それだけだ。
モチーフを三つつないだところから再開して、現在五つめをつないでゐるところである。
ほんとにちよつとしか進んでゐないのにはわけがある。
実は、しつこく糸の有効活用に挑戦してしまつたのだつた。
今回も、モチーフの最後の糸始末には Magic Thread を使用してゐる。
まづはシャトルからチェイン一回分に糸始末分を足したくらゐの長さの糸を引き出す。
リングを作りながら、糸始末用のパッチワーク用の糸を輪にしたものを縫ひ込むやうにスティッチのあひだに通していく。
チェインにも同様に糸始末用の糸を仕込む。
次に、チェインを作つてあまつた糸とボビンに残つた糸とを二つ目のリングのスティッチのあひだに縫ひ込むやうに通していく。
おしまひ。
こんな感じで、糸の有効活用をしてみた。
前回もおなじやうにした。
今回はさすがにリングとリングとをつなげるときには注意しながら作つたよ。
やれやれ。
ボビンにあまつた糸は短くなつてしまつたので、以降はシャトルのボビンからチェインを作るに足るくらゐの長さの糸を引き出してモチーフを作つてゐる。
Magic Thread を使ふ所以は、出先でも糸始末ができるから、だな。
針やボンドは必要ない。
……ボンドはあつた方がいいかもしれないけれど、その場では不要だ。
糸と糸とを目立たぬやうに結ぶなんてな器用なこともしなくて済む。
細い細いレース糸をきれいに結ぶなんて、ちよつとやつがれにはムリ。
そんなわけで、日々ちまちまと結んでゐる。
Magic Thread にはパッチワーク用の糸よりはテグスの方がいいのかなあ、などと考へながら、な。
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