アキラとマチコとモンド
もうせん、中尾彬のマフラーが気になつてゐる。
マフラーといふよりは襟巻、もしくは首巻とでもいはうか。
あのねぢねぢとねぢつた感じ。
気になるなあ。
Web検索をかければきつとやり方とかなんとか書いてあるんだらう。
そのうちやつてみやうか知らん。
どうも編みもの者とか織りもの者とかで身につけるやうなものを作る人間は、他人のしてゐるマフラーとかショールとかストールとかが気になるやうだ。
秋から冬にかけて、街中で気になるマフラーをしてゐる人を見かけると、つひ追尾しさうになつてしまふ。
行き先がおなじ方向ならそれとなくついて歩いてマフラーを見てしまふ。
ストーカー?
いや、さすがにご自宅まで押し掛けたりはしませんよ。
そんなわけでTVを見てゐても気になるところはおなじだ。
なかでもずつと気になつてゐるのが中尾彬の襟巻(といふことにしておかう)なのだつた。
細い毛糸で色や模様の違ふ細長いものを二本か三本編んで、ねぢりあはせたら、あんな風にならないかな。
そんなことを考へてゐる。
似たやうなデザインのものは、太い糸を使つたものなら本でも見かける。
糸が太い方がかのこ編みなどはくつきりはつきり出るのがいいのだらう。
しかし太い糸で編んだら中尾彬にはならない気がする。
細い糸で、編み込み模様なんかもいいかもしれないな。
あるいは単にしましま模様。それもバイアスだつたりするとおもしろいかも。
はたまたひたすらメリヤス編みで編んでくるんと筒上にまるまつたものを使ふのもおもしろいかもしれない。この場合は長辺を作り目するのかな。さもなければi-code。
いろいろアイディアは膨らむ。
ショールと有名人といへば氏家真智子だ。
「君の名は」の、あの真智子さんである。
こちらにその写真がある。
記念切手の写真でも岸恵子演じる氏家真智子が「真智子巻き」にしているのはヂヤンテイ織りのショール(といふかストールといふか)だ。
クリス織器を使つたものであらうことがわかる。
Wikipedia によると、岸恵子は横浜でこのショールを買つて、北海道での撮影に持つていつたのだとか。
寒くて頭と首とに巻き付けてゐたところ、そのまま映画でもその姿で出ることになつた。
毛糸はなんだらうなあ。そんなに細くはないのか知らん。国産かなあ。
写真の印象からはちよつとモヘアが入つてゐるやうにも見受けられる。まあ、単にちよつとボケてゐるからかもしれないけれど。
真智子のショールがヂヤンテイ織り、と聞いたときは是非作つてみたいやうに思つたが、いまはそれほどでもない。
だいたい色がわからないしね。
白だつたのかなあ。
なんとなく淡い水色や桃色黄色のやうな印象もある。
当時はヂヤンテイ織りのショールが売られてゐたんだな。
撮影待ちのあひだ寒いので首に巻いてゐたのがそのまま撮影時にも採用された、といへば中村主水だ。
話によると、撮影待ちのあひだ寒いので藤田まことが小道具の人に借りた布を首に巻いてゐたところ、監督が気に入つてそのまま撮影することになつた、といふ。
以降、首巻姿が主水のトレードマークになつてゆく。
主水の場合、素材はなんだらう。
とりあへず、技法はあみものではないことだけは確かだ。織りだね、どう見ても。
当時のことだから、麻か綿か。
絹、といふことはないと思ふんだよね。贅沢品だし、あの張りのある生地のやうすは絹ぢやないんぢやあるまいか。
手ぬぐひのやうな素材だつたのかなあ。
真智子さんの巻き方も方がすてきだけれど、主水もなかなかいい。
生地をぐるりと首に一巻きし、両端を前に垂らして襟の中に入れてゐる。
両端が邪魔にならないやうになつてゐるわけだ。
当時の人はみなさうだつたのかもしれないけれど、危機管理のひとつのやうに受け取れるところがいい。
首巻の両端を取られて首を絞められたらたまつたもんぢやないもんね。
いま歌舞伎座の夜の部にかかつてゐる「沙門空海」では市川染五郎が主水めいた首巻を巻いてゐると聞いた。
ちよつと楽しみである。
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