華麗なる Tatting Lace 展に行つてきた
三月二十日日曜日に、田中八重洲画廊のタティングレース展を見てきた。
展示会の名前は「藤戸禎子 盛本知子 華麗なる Tatting Lace の世界」だらうか。
千疋屋ギャラリーで開催されるタティングレース展にも行つたことがあるが、ここのところご無沙汰してゐた。
ひさしぶりのタティングレースの展示会だ。
とにかく「圧巻!」の一言につきる。
……これだと終はつてしまふか。
画廊の外から見ると、なにか被服系ファッション系の展示会なのだらうか、と思つてしまふ。
ガラス張りの入口付近には、トルソーにかけたタティングレースのヴェストなどが飾られてゐたからだ。
中は三方の壁に栞などの小さいものや、手提げ、ポーチ、ドイリーなどが飾られてゐた。
中央のテーブルにはショールやストールをはじめとした大物や、やはりこまごまとしたもの、奥の壁の前のテーブルにはティッシュカバーその他実用品が並べられてゐた。
入口の受付の向かひのテーブルには主にビーズをあしらつた作品が展示されてゐた。
藤戸禎子が「主婦の友」で一等を受賞したベビー毛糸のショールも並んでゐた。
「主婦の友」ではほかにも一等・三等に入つたショールやピアノカバーなどが並んでゐた。
説明によると、いまのベビー用の毛糸ではタティングはできないのらしい。
シャトルに巻いた時点で糸が切れてしまふのださうな。
ベビー用はさうなのか。
極細毛糸ならいけるよね。パピーのNew 2Ply とかさ。
並んでゐる作品には、本に掲載されてゐたものも多く、「あ、あれはあの本で見たドイリーだ」とか「これはあの本で見たストールだ」とか、実物を見られたのもよかつた。
想像してゐたよりもずつと細い糸で作られた小さいものも多かつた。
作品は熟練の技術とでもいはうか、感覚がすぐれてゐるといはうか、大変手がうつくしい。
それに、こんなことを云ふのは僭越ながら、センスがいいんだらうなあ。
色合はせとかさ。
ビーズの選び方とかさ。
単にやつがれ好みといふだけかもしれないけれど。
見てゐるあひだ、おそらくお弟子さんでもある説明の方が「(作品には)値段はつけられないんです。ほしいといふと(藤戸禎子)先生は「自分で作りなさい」と仰るんです」と何度か云つてゐた。
多分、「売つてほしい」といふお客さんがゐたのだらう。
わかるよー。
買へるものならほしいよ。
それに、作れないよ。
どうしたらこんなに何枚も何枚もショールのやうな大きなものを作れるのか。
それに、自分でデザインしてゐるんだよね。
気が遠くなるよ。
そんなわけで、すつかり圧倒されて帰つてきた。
今後、タティングレースをすることがあるだらうか。
さう思つたほどだ。
もう「The Twirly をつなぐプロジェクト」も完全にやめてしまはうか。
ビーズタティングのネックレスも途中までだけどどうしたものか。
そもそもやつがれの作つてゐるものは、誰にでも作れるものだ。誰かがすでに作つたものだ。
残りの人生をさうしたものを作る時間に費やすだけの価値があるのだらうか。
などと考へつつも、オリジナルのタティングシャトルを買つてしまつたんだけれどもね。
盛本知子の出版した本の表紙の色をイメージしたシャトルなのださうな。
このシャトルを使ふ日は来るのか。
さて。
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