花のサロンか井戸端か
_Domino Knitting_ に掲載されてゐる _Striped Shawl_ は、三列目のまんなかを過ぎたところだ。
先日も書いたとほり、NHKの大河ドラマ「真田丸」を見てゐる。
見ながら Striped Shawl を編む。
いい感じで編めてゐる。
「これつてマルチタスクなのかな」「マルチタスクといふことは脳にダメージを与へてゐるのかな」などと思つたりもするが、そこはそれ、だらう。
かつて「伝説のオウガバトル」といふヴィデオゲームにはまつてゐたことがある。
シミュレーションRPGと銘打たれたこのゲームは、手持ちの兵力を何部隊かに分け、地図上に配置すると、あとはたまに戦闘があるくらゐで、そのあひだ編んでゐることができた。
まさにやつがれ向きのゲームだつた。
Striped Shawl はこの調子でいくと四列は編めさうである。毛糸の残り具合からいつてね。
それくらゐ編めれば十分な大きさになるはずだ。
問題は、できあがるころにはあたたかくなつてゐて遣へないだらうといふことくらゐで。
ところで、最寄り駅のそばにある手芸店の閉店が決まつたといふ。
あみものを初めたころからたまに買物しに行つてゐた。
たまになのは、以前は自宅のそばにも手芸屋があつたからだ。
また、平日は帰宅するころには営業時間が終はつてゐるので行けず、おなじく最寄り駅のそばにある図書館には日曜日に行くことが多いのだが日曜日は定休日なのでやはり行けなかつた。
それに、ものすごく編むやうになるとユザワヤに行つたり、最近ではWeb通販で買つたりするやうになつた。
これぢやあいかん、といふので、この店に赴いて買物をするやうにしたりもしてはゐた。
が、上記のやうな理由であまり行けずにゐたのだつた。
それに、もうこれ以上毛糸とか増やしちやいけないと思つてゐたしね。
金曜日に、早めに仕事をあがつてこの店に行つてみた。
狭い店内には刺繍糸やビーズ、毛糸にレース糸、副資材などがみつしりと並べられてゐる。
奥のちよつとしたスペースで、ご婦人お二人があみものとお喋りとにいそしんでゐた。
店員さんといふわけではないやうだ。
常連客だらう。
町の手芸屋さんつてかういふ感じだつたよね。
お店はお世辞にも広いとはいへないが、このお店で毛糸を買つた人や近所のご婦人が寄り集まつてあみものしながらお喋りに興じてゐたよね。
町の手芸屋とはいへないが、恵比寿にあつた Rowan もさうだつた。
行くといつもお客さんとおぼしき人が数人ゐて編んでゐたやうに思ふ。
中には店員さんもゐた。
他愛もない話をしながら時に編み方を教はり教へしてゐたやうに思ふ。
実を云ふと、恵比寿のRowanはさうした常連客の方がたくさんゐて、なんとなく入りづらい印象があつた。
すいません、部外者で。
訪れるたびにさう思つた。
でもそれは恵比寿といふ土地柄もあつたらう。
恵比寿に行くとやつがれは余所者だ。
余所者がその土地の手芸屋に行つたら、なんとなく疎外感を感じるのは仕方がないものと思ふ。
町の手芸屋は、ちよつと気取つたことばでいへばサロンだつた。
井戸端だつた、といつてもいい。
ユザワヤにはさうした雰囲気がない。
オカダヤにはもしかしたらあるのか知らん。
百貨店に入つてゐるホビーラ・ホビーレにもない雰囲気だ。
ましてやWeb通販。
井戸もなくなり、町の手芸屋もなくなりつつある。
人はどこで井戸端会議をするのだらう。
町中のそこかしこで、かな。
あるいはLINEとかだらうか。
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