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Wednesday, 27 January 2016

幸せになれるか否か

断捨離についてもミニマリストについてもよく知らない。
知らないのに書くのはなにかと思ひつつ、最近ミニマリストと呼ばれる人が書いた本を途中まで読んで気になつてゐる。

家の中を清潔に整然とした状態に保たう、といふ考へはわかる。
風水にはまつてゐる人の話を聞いてゐると、「要するに家の中をかたづけませうつて話でせう」と思ふ。
黄色いものを西側におくといいとか、何々は玄関においてはいけないとか、さういふこともいろいろあるけれど、風水の大本の考へ方は「家の中を清潔に保て」といふことだと思つてゐる。
たいへんすばらしいことだ。

歌舞伎を見てゐると、登場人物の家の中にはものがほとんどないことに気づく。
ちよつとごちやごちやしてゐるな、といふのは台所で、それ以外は驚くほどものがない。その台所だつてほかの場所にものがないからさう思ふのであつて、それさへなければきれいなものだ。
貧乏な人の家だからか。
さうではない。
裕福な町人の家でも、必要なものは必要なときに出てきて、それ以外のときにはかたづけられてしまふ。
大名屋敷などでもそんな感じだ。

芝居の中のことだからか。
さうも思ふ。
しかし、和室の佇まひを見るに、おそらく当時はさういふ感じだつたんだらう。
そんな気がする。
ものはあるべき場所にかたづけておいて、必要なときだけ取り出す。使つたらしまふ。
布団がさうではないか。
普段は押入にしまつてあつて、寝るときだけ出してくる。
布団以外のものもさういふ感じだつたのではあるまいか。

ひるがへつて我が家だ。
世に「汚部屋」といふことばがある。
我が家はまさしくそれだ。
とりあへず人の通る道はある。つまりは床が見えてゐる部分がある、といふことだ。
座つて食事をする場所やMacBook Airに触れる場所はある。
でももう本は増やせない。
本棚に空きがないからだ。
毛糸などについても同様。
服やかばんもだな。
くつはからうじて靴箱に空きがあるが、でも、その靴箱自体がいらないのかもしれない。
そんな状態である。

部屋がきれいになつたら、幸せになれるんぢやないか。
さう思ふこともある。
最近読んだ本にも、ものを捨てることで、といふよりは、必要なものしか求めずきれいな部屋で暮らすことで幸せになつた、といふやうなことが書かれてゐた。

結局は、そこなんぢやないかな。
断捨離をして、あるいはミニマリストになつて、幸せならばそれでいい。
ならなくても幸せならそれはそれでもちろんいい。
さういふことなんぢやあるまいか。

自分はなぜものを捨てられないのか。
一番の理由は「面倒くさいから」だ。
なぜ捨てられないのか考へて、最終的にたどりついたのがそこだ。
捨てたいものはある。
捨てやうと思つてもゐる。
でも捨てられないのは、面倒くさいからだ。
最近はとくにゴミの分別だの粗大ゴミは手続きが必要だのでものを捨てるのが面倒くさいことになつてゐる。家電やPCを捨てる際の面倒くささといつたら!
本だつて、手芸本はできれば捨てるのではなくて求める人のもとに行つてくれたらうれしい。つまりは手芸本の古本専門店に持ち込みたい。
でもそれがすでに面倒だ。

もうひとつ、なんとなく「誰かがやつてくれる」といふ甘えがある。
自分自身でやらなければならないのに、心のどこかで「自分でやらなくても、さ」と思つてゐる。

あとは「ものを捨てて、それで幸せになれなかつたらどうする?」といふ不安もある。
風水も断捨離もミニマリストになることも、「かうしたら幸せになりますよ」といふことを謳つてゐる。
でも、もし幸せになれなかつたら?
さう思ふとなかなか着手できない。
言ひ訳といへばそれまでだけれどもね。

いまの自分が不幸だとしても、ものが多いことが理由だとは思つてゐない。
理由はまた別のところにある。
でも、もしかしたらものを捨てて整理したら幸せになれるかもしれない。
そんな夢ばかり見てゐる。
そして実行にうつせずにゐるわけだ。

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