年の暮にサンクコストを思ふ
日曜日に大掃除ならぬ小掃除をした。
50cm四方ていどを片づけただけでなぜこんなに疲れるんだらうと思ふくらゐ疲れた。
考へてみたら平面では50cm四方かもしれないけれど、地層があるんだよな。
地層をあなどつてはいけない。
1cmに満たない地層でも紙が積んであるのなら、いちいち確認しなければならないからである。
今回の地層には、紙はそれほどなかつた。
紙袋やお店でもらふ袋がいくつかあつて、中から編みかけや編んでもゐない毛糸が出てくること出てくること。
大抵の場合は、編みかけのものや毛糸を見ればなにを編んでゐたかなにを編まうとしてゐたかわかる。
「かういふ編みかけがあるはず」といふことも把握してゐる。
今回、自分のその編みかけ把握能力を疑ふやうなものがでてきて、がつくりきてしまつた。
パピーのちよつといい糸でなにかしらメビウス編みのものを編んでゐる。
輪針の長さは60cmのやうだ。といふことは、編み始めにかなり苦労したものだらう。
ゴム編みのレース模様で、模様編み集からとつてきたのだらうけれど、どの模様編み集を見たのか定かではない。
むむー。
このサイズだと帽子にしやうとしたのか、ぴつたりと首に沿うネックウォーマを編まうとしたのかのどちらかだらう。
ネックウォーマかなあ。
いづれにしても、編み始めの困難だつたことを思ふと、おいそれとほどくことはできない。
苦労したことはまつたく覚えてゐないけれど。
かういふのが「サンクコスト」なんだらうなあ。
ほどいてしまへばいい。
でも、それができない。
編み終へてはゐるものの、整形をしてゐないストールなんかもでてきた。
Rowan のウールコットン4Plyで編んだものである。
レース模様で、整形しないとぐしやつとしてやうすが悪い。
ちよつと羽織つてみたら、やはらかくてとてもいい感じだ。
これは整形することにしやう、とは思へども、細長いものなので整形しづらい。
それではふつたままになつてゐたんだな。
これもその存在をすつかり忘れてゐたものだ。
もつたいない。
ほかに、Alice Starmore のキットの編みかけもでてきた。これはちやんと記憶してゐた。
これはほどかないといけないなあ。手の加減が変はつてゐるもの。
これもまた捨てるには惜しい。
サンクコストである。
あと、キンカ堂の袋に入つた毛糸が出てきた。
一緒に編まうと思つた作品の掲載されてゐる本も入つてゐた。
これもあることを記憶はしてゐた。
それにしてもキンカ堂だよ。
懐かしいねえ。
キンカ堂で買物をするといふことはサンシャイン劇場に行つたときのことだらう。
「レッツゴー!忍法帖」のときでないことは確かだから、「鋼鉄番長」のときかなあ。
まつたく手をつけてゐないので、これまた捨てられない。
サンクコストである。
ほかに、得体の知れない原毛もでてきた。
黄色がかつた淡い茶色で、さういふ色の毛のやうである。
ひとつかみほどしかない。これ、100g単位で買つたのかなあ。わからない。
毛は弾力のあるタイプだ。なんなんだらう。こんな色の羊、ゐるのかな。でも羊であることだけは間違ひないと思ふ。
ちよつと紡いでみたら楽しかつた。
いかんなあ。
毛糸や原毛はたしかにサンクコストだ。
しかし、この先買へないかと思ふと捨てることができない。
買へなくなる理由もいろいろあるしね。
そんなわけで今年もそんなに毛糸を買ひはしなかつた。
でも今後編みたいものには毛糸をそろへなければならないものもある。
それは後回しにして、とりあへず手持ちの毛糸を使ふことにするかなあ。
いつもさう思ひつつ、買つてしまふんだよなあ。
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