川本喜八郎人形ギャラリー ギャラリー外のケース
11/14(土)、渋谷ヒカリエにある川本喜八郎人形ギャラリーで新たな展示内容が公開された。
今回はギャラリー外のケースについて書く。
ギャラリー入口前のケースには牛若丸と静とがゐる。
このふたりは以前ギャラリー内に展示されてゐたことがある。
「牛若丸」でいいのかな。説明には「遮那王」とも書いてある。
「新・平家物語」では幼い牛若丸は白拍子の一団に混ぢつてゐたことがある。
そこで静とも知り合つて、幼なじみだつたことになつてゐる。
そんなわけで牛若丸は女の子の態、なのだらう。
白拍子だから男装束なので、男なのか女なのか、判然としないところがおもしろい。
そのせゐもあつてか妙に色気もある。
対する静はこどもらしく愛らしい佇まひだ。
華麗にかるがると舞ふ牛若を目で追つてゐる、といつたやうすなのかなあ。
ギャラリーの中には成長したふたりがゐる。
比べて見られるのがいいね。
ギャラリーの中の静は先日書いたやうにどこか表情が幼く見えて、それつて幼なじみに再会して昔のことを思ひ出したからか知らん、とか、そんなことも考へてしまふ。
例年、十二月末から一月の頭にかけて、ギャラリー外のケースは新年用の展示に変はつてゐる。
今年も変はるのかな。
年末年始にヒカリエに行く場合は、牛若丸と静とには会へない可能性もあるので要注意だ。
エスカレータの目の前のケースには、「人形歴史スペクタクル 平家物語(以下、「人形劇の「平家物語」)」で使はれた小道具が飾られてゐる。
経正の琵琶と、仏御前、朱鼻伴卜、平時忠の扇がある。
経正の琵琶は、青山だらうか。
前回の展示には、守覚法親王に琵琶を返す経正がゐた。
今回のケースでは、琵琶の後ろに鏡が置かれてゐて、琵琶の背中の模様が見えるやうになつてゐる。
細かい。
「びじゅチューン!」の「転校しないで五絃琵琶」にもあつたね。
「その美しい背中の唐花模様」つて。
(推定)青山の背中の模様もとても美しい。
実物もこんなだつたのかな。
扇は、持ち主を思ひ出しつつ見てしまふ。
伴卜なんかは扇を手に展示されてゐたやうな気がするんだけれど、こんなだつたか知らん、などと思ひつつ見てしまふ。
中の展示の経盛のそばに置かれてゐる風呂敷にしてもさうだけれども、模様が細かくて感嘆することしきりだ。
美は細部に宿る、と、これは先日書いたやうに、もとになる幹の部分がしつかりしてゐるから細部の美が生きてくるんだらう。
今回はオール人形劇の「平家物語」だ。
個人的にはいいと思つてゐる。
いろいろ事情もあるだらうしね。
ただ、飯田市川本喜八郎人形美術館でちよつと耳にしたことが気になつてゐる。
「渋谷にはね、人形劇の「平家物語」の人形しかゐないのよ」と云つてゐた人々がゐたからだ。
おそらく、その人たちが川本喜八郎人形ギャラリーに行つたときはたまたまオール「平家物語」のときだつたんだらう。
それは仕方がない。
でもその人たちのことばを聞いて「さうなんだ、渋谷には「平家物語」の人形しか展示されてゐないんだ」と勘違ひする人が増えたらちよつと悲しい。
それはそれで仕方がないのかな。
「落日粟津ケ原」についてはこちら。
「鎌倉非情」についてはこちら。
「一ノ谷」その一はこちら。
「一ノ谷」その二はこちら。
「父子三態」についてはこちら。
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