学ばない学ばない
タティングレースのモチーフは現在のところ五つできてゐる。
日々、「来年の年賀状を出すのはあきらめやう」といふ思ひが強くなるばかりである。
今年は休みも少ないしなあ。
例年、十二月はなにかと忙しい。
といふ話はすでに書いた。
歌舞伎座、国立劇場、南座で芝居がかかつてゐて、文楽もある。
今年はさらに落語と別の芝居にも行くことになつてゐる。
土曜日には仕事の入つてゐる日もある。
世間様でいふ仕事納めの日には東京マッハにも行く。
そして、飯田市川本喜八郎人形美術館では新展示が公開されてゐて、しかも今月の上映作品には「世間胸算用近頃腹之裏表」がかかるといふ。
どーしろといふ感じだ。
全部に行く必要はない。
そのとほりである。
だいたい毎年息切れして、千秋楽付近に行くことにしてゐる歌舞伎座には行けないことも一度ならず、だ。
千秋楽に行けたとしても、一週間ちよつとでもう初芝居だ。
一月は歌舞伎座、国立劇場、新橋演舞場、大阪松竹座、浅草公会堂で芝居がかかつてゐて、文楽もある。
さすがに三ヶ月つづけて遠征はしないけれど、なんなんですかね、この忙しさ。
だから中村東蔵に丈賀をやらせるなんていふとんでもない配役になるんだよなー。
だいたい田之助の丈賀だつてどうかと思つたのに。
それはまた別の話。
ここまでは、モチーフが思ふやうに作れてゐないことへの言ひ訳だ。
南座への行き来の新幹線の中で作るつもりでゐたのだけれども、行きは寝てしまつた。帰りにちよこつとやつた。乗つてから降りるまでせつせと作ればモチーフのひとつくらゐできやうものを、そこまでの気力は残つてゐなかつた。
年賀状を出すのはあきらめやうかなあと思ひつつもモチーフ作りはやめられない。
楽しいからだ。
これまで The Twirly をつなぐプロジェクトにかかりきりで、The Twirly といふ Jon Yusoff のデザインした六角形のモチーフばかり作つてきた。
たまに全然違ふものを作ると、これが異様に楽しい。
The Twirly が楽しくないわけぢやあない。
The Twirly は、おそらく今まで作つてきた中では一番好きなモチーフかもしれない。すくなくとももつとも好きなモチーフのひとつであることは間違ひない。
さうでなければたくさん作つてつなげやうなんで思はないよ。
でも、それとこれとはまた別だ。
シャトルも、The Twirly には Aerlit を使つてゐるけれど、いまは GR-8 Tatting Shuttle を使つてゐる。
使ひなれたる黒檀のシャトルだ。
GR-8 Tatting Shuttle はシャトルひとつだけの作品を作るときには最強だ。
ボビンに巻いた糸はただ引き出せばいいだけだからだ。
GR-8 Tatting Shuttle 弱点は、一度引き出した糸をボビンに巻き付けるのがむづかしいことだ。
それをしなくていいシャトルひとつだけで作る作品に、これほど向いたシャトルもない。
……まあ、GR-8 Tatting Shuttle はチト大きいので、それで扱ひづらいと思ふ向きもあるかもしれないが。
確かにクロバーのタティングシャトルを使ふときのやうにさくさくとは使へない。
クロバーのシャトルにはクロバーのシャトルのよさがある。
さういふ話だと思ふ。
それはともかく、GR-8 Tatting Shuttle の中でも一等お気に入りのシャトルを使つてゐるといふだけで、なんだか楽しいのだつた。
といふわけで、「年賀状を出すのはあきらめる」と云ひながらもまだまだモチーフ作りをつづけるつもりでゐる。
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