おほつぴらに見る
10月29日の木曜日に永青文庫に行つて春画展を見て来た。
春画展は開催に至るまでいろいろと大変だつたのだと聞く。
それぢやあ見に行かなきやな、前期の展示は11月1日までだといふし。
といふわけで行つてきた。
話には聞いてゐたが、ほんたうにすごい人だ。
「今日の永青文庫は大変な人ですこと」と云ひたくなること請け合ひだ。
それでもこの日はチケットはすぐ買へたし、中にも即入れた。
中は大層混み合つてゐたけれどね。
開催にこぎ着けるまで大変だつたらしい、と書きはしたけれど、やはりかうして堂々と展示されてゐると、だんだん食傷してしまふ。
なんかもう飽きてきちやつたなー、と思つたころに、「最近は普通の春画では商売にならなくて」とボヤイてゐる人の絵が展示されてゐて、ちよつと笑つてしまつた。
江戸時代も後期になると、さまざまな趣向を凝らした春画が作成されたやうだ。幽霊物怪の類の出てくるのはさういふものなんぢやないのかな。
春画はできれば誰もゐないところでひそかに楽しみたい。
展覧会に行つておいてなんだけれどもさ。
そこへ行くと豆版の絵はいい。
5×3カードくらゐのサイズの紙に描かれてゐて、その精緻なことといつたら驚く。
覗き込むやうに見る感覚が、春画を見てゐるといふ気分になる。
展示されてゐる絵の中には「仮名手本忠臣蔵」を題材にした絵があつた。どの絵を見ても「きみたち、そんなことやつてる場合ぢやないだらう」といふものばかりでこれまたうつかり笑つてしまつた。
さういや春画のことは笑ひ絵ともいふね。
上方の人が描いたものは表情豊かといふのがおもしろかつたなあ。
あと、葛飾北斎はやはりちよつと別格。なんといつても、着物の描き方ひとつで「あ、これは北斎」つてわかるんだもの。
おなじやうな着物の描き方をしてゐる絵は一枚あつたくらゐだ。
ああいふ描き方をすると、リアルになり過ぎるのかな。
物販コーナーもこれまた大変な人出であつた。
北斎の蛸の絵のトートバッグなんて、どこに持つて行くんだよ。
まあ、もちろん当たり障りのない部分を切り取つてはあるけれどもさ。
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