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Tuesday, 13 October 2015

君は不便に耐へることができるか

昨日、くつ下を編んでゐたらなんだかさくさく編めてしまつた。
いい季節になつてきたといふことか。
昨日あたりは日差しは強くて日向は暑いくらゐだつたけれど、日陰は寒いほどで風もからりとして心地がよかつた。
かういふとき、毛糸を取り出してきてなにか編むのはまた気持ちのよいものである。
レースを作りたいやうな気候でもある。

などといひながら連休中はタティングレースはなにもしなかつたなー。
お道具の片づけをちよつとしたくらゐか。
先週ここにも書いた初つぱなから失敗してゐる栞も始末した。
つまりは捨てた。
使つてゐたタティングシャトルはGR-8 Tatting Shuttle だ。素材は黒檀。
手持ちのシャトルの中では一番のお気に入りだが、GR-8 Shuttle は Black Magic を作るのにはむかないと思ふ。
なぜといつて、糸をボビンに巻き取つて短くしたいといふ場面が多く存在するからだ。
つまり作つてゐるあひだしよつ中裏返すともいへる。

GR-8 Shuttle は、糸を引き出すときは問題ないけれども、糸を巻き取るのはちよつと苦手なんだよね。
いちいちシャトルを片手にもう片方の手でボビンを回して糸を巻き取る必要がある。
シャトルから出てゐる糸が長くても気にならないといふ人や、うまいこと裏返す前に糸の長さを調節できる人にはいいのかもしれない。
あと、シャトルをひとつだけ使ふ作品だつたら問題ない。
そんな問題のあるシャトルをなぜ気に入つてゐるのかといへば、糸を出し入れするときに音がしないし、ボビンだから糸を巻くのも取るのもかんたんだし、先についてゐる鈍めのかぎ針が自分には向いてゐるからだ。

GR-8 Shuttle にもうまい具合に片手で糸を巻き取る方法があつたりするのだらうか。
以前調べたときは、「その点はどうにもならない」といふやうななことが書いてあつたやうに思ふ。
GR-8 Shuttles のサイトに、ではなくて、愛用者のblogで見た記憶がある。

それでずつとさういふものだと思つてきたのだけれど、しかし、世の中の人々はそんな不便なものを愛用したりはしないよな。
それもいくつもいくつも持つてゐたりとか。

とはいひながら、自分はかなり不便な方法でずつとタティングしてきたので、さういふのもありなのかな、と思つたりする。
不便な方法といふのは、ダブルスティッチの後半を作るときに、いちいちシャトルを持ち替へてゐたのだ。
教へてくれる人がゐないつて、かういふことなのか、とも思ふ。
たまたまスピニングパーティーかなにかで売り子さんが待ち時間にタティングをしてゐるのを見かけて、ダブルスティッチの後半を作るときにもシャトルから手を離してゐないのを見かけた。
「さうやるのか!」と、目から鱗が落ちるとはまさにこのことだつた。

それまで、「タティングレースならドイリーくらゐ一日で作れる」とか「目の前でタティングレースの栞を作つてくれたのよ」なんぞといふ話を聞くたびに、「いやー、そんなに早くは作れないでせう、この方法ぢや」とずつと思つてゐた。
その謎がこのとき解明されたのであつた。

Youtubeなどを見るとシャトルの動かしかたにもいろんな方法があつて、もともとの自分のやり方でもさう間違つてゐるわけでもない。
そもそもちやんとダブルスティッチが作れるなら、どんな方法でも正しい。
でもまあ、らくちんな方がいいよね。

などといひつつ、考へてみると、不便な方法で作つてゐたときの方がいろいろ作つてゐたのかなあ、とも思ふ。
…………さうでもないか。
タティングレースのマフラーを作つたのは、楽な方法を覚えてからだしな。
いま作つてゐる The Twirly をつなぐプロジェクト完成の暁には、これがいままで作つたことのあるタティングレース作品では一番大きいものになる予定だし。

でも、なんとなく、不便な方法で作つてゐたときの方がいろんなものを作つてゐた気がするんだよな。

The Twilry をつなぐプロジェクトにかかりきりでほかのことをしてゐないのだからあたりまへか。

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