大☆新感線博 ざつと偵察篇
「五右衛門vs轟天」の千秋楽から一週間ちよい、渋谷パルコ・ミュージアムで「大☆新感線博」がはじまつた。
「五右衛門vs轟天」ハイから抜け出せぬまま、9/12(土)に行つてきた。
この日はあまり時間がなかつたので、偵察ていどの軽い気持ちで行つた。
展示物が多くて細かいといふ話を聞いてゐたからだ。
とにかくですね、まづこれだけは云はせてください。
「秋味R」のおリカがリカちやんぢやない!
ジェニーぢやん! ジェニーぢゃん!
このときの衝撃を、なんと表現したらよからうなあ。
心の中では楳図かずおの描く少女のやうに叫んでゐた。
よくぞ心の声をおもてに出さなかつた、と自分で自分を褒めてあげたい。
それくらゐの衝撃であつた。
衝撃のあまり、初代ジェニーと勘違ひするくらゐ動揺した。
冷静になつてみれば、初代ジェニーの可愛さはあんなものぢやないのだ。
なにしろモデルがアグネス・ラムだからな。
「五右衛門vs轟天」のおリカはリカちやんだつたけどね。
でもマー・ピンピンさんがなにものかはわからなかつた。
といふか、確認するだけの冷静さが失はれてゐた。
やれやれ。
また行きますよ、マーさんを確認しに、ね。
これまた冷静になつて考へてみると、おそらく「秋味R」のころつて、ジェニーの方がリカちやんよりも手に入りやすかつたんぢやないかな。
一時、おもちや屋の店頭ではジェニーものの方がリカちやんものより多い時期があつた。
それと「秋味R」の上演時期がかさなつてゐるものと思はれる。
あと単純に考へると、ジェニーの方がリカちやんよりも舞台映えはするのかもしれない。
ジェニーの方が五cmばかり背が高いからね。
と、いまは冷静に書いてゐるが、再見したら梅図かずおの描く少女のごとく叫んでしまふだらう。
もちろん、心の中で、な。
しつこくおリカの話をつづけると、「秋味R」のおリカ(といふ名のジェニー)は和装である。
「五右衛門vs轟天」のおリカは洋装。
これも、一時ジェニーはお着物を着た状態で売られることがあつたんだよね。とくにお正月とかが近づくと。
ジェニーと「ジェニーフレンド」と呼ばれる何人か(マリーンとかフローラとか)が着物姿でおもちや屋の店頭に並んでゐた。
最近はそもそもおもちや屋を見かけなくなつた。
最寄り駅の商店街にあつたおもちや屋もつぶれてしまつた。
以前は、すくなくとも「秋味R」当時はダイエーとか西友とかスーパーマーケットにいけば、おもちや売場があつた。
あのころ町田駅を経由して通勤してゐて、町田の東急百貨店でお迎へした子がゐたもの。小田急より東急の方がいい子を揃へてゐたんだよね。
いまは百貨店には辛うじておもちや売場が残つてゐるやうにも思うが、あつてもおさみしい状況だつたりする。
そしてたいていジェニーはゐない。
ゐるとしたらリカちやんだ。
さういふ事情が「秋味R」と「五右衛門vs轟天」とのおリカにも影響してゐるんだらう。
「五右衛門vs轟天」のおリカが洋装なのは、お竜といふか松雪泰子といふかのコスプレのためもあると思つてゐるけれどね。
気を取りなほして、ざつと見てきた印象をば。
入り口を入ると、壁一面に旗揚げ当時からのチラシや写真、資料が貼られてゐる。
時系列に並んでゐて、現在の団員がいつ入団したかわかるやうになつてゐる。入団年にその役者のコメントが貼られてゐるからね。あと入団当時の若い頃の写真も貼られてゐたりもする。
またごくごく小さいモニタが二カ所くらゐ設置されてゐて、昔の貴重な映像が流されてゐる。でもよく見ることはできなかつた。このあたり狭くて混んでゐて見るものがたくさんあつて、立ち止まつて映像を見てゐる余裕がないのだ。
往時を知る人にはなつかしさいつぱい、知らなくても楽しさいつぱいだ。
ここだけで下手したら一日ですよ、奥さん。
見ていくと、いきなり舞台衣装が飾られてゐたりする。
最初に気がついたのは「髑髏城の七人」の極楽太夫の衣装だつた。確か1990年のもの、と書いてあつたやうに思ふ。
和調ではないもののどこか和調な大柄の花を描いた衣装で、バラの花弁のところどころに赤いブレードでふちどりしてあるのが印象的だつた。
ブレードも一種類ぢやなくて、ぱつと見たところ二種類は使つてある。
花弁全部ではなくてところどころ、といふのもセンスなんだらうなあ。
このあとも衣装はところどころにあつて、「薔薇とサムライ」のアンヌの海賊衣装なんかもかざられてゐるんだけれども、これが思つたよりも小さい。
ゆりちやん、こんなに小さいか?
さう思ふくらゐ小さい。
去年「中村吉右衛門展」に行つたときに展示されてゐた「熊谷陣屋」の熊谷の衣装もえらく小さく見えたから、マネキンに着せるとさうなつてしまふのかもしれない。
ちなみに、唯一思つてゐたより大きいと思つたのは「レッツゴー!忍法帖」の猿飛のサダの衣装である。
すまぬ。
年表的資料の展示部分が終はると、小道具がたくさん展示されたエリアになる。
これがまたもー細かいやらたくさんあるやらあちこちに展示されてゐるやらで見切れない。
天井からつり下がつてゐるかと思へば床におかれてゐたりもするし、「どうすりやいいのさこのアタシ」と途方にくれてしまふこと請け合ひである。
剣とか刀とかがまづ目に入つたなあ、やつがれは。
「アテルイ」のときのアテルイが使つてゐた剣のそばに「蒼の乱」のアラハバキがあつたりするのがなんとなくニクい。
重さを知るために持つてみたいと思ふけれど、それはもちろんダメ。
「LOST SEVEN」の鉄のアイゼン(鉄の鉄……ま、いいか)の剣なんかもありましたよ。
「LOST SEVEN」はチラシを見たときもちよつと胸熱でしたよ。
小道具の中に「秋味R」のおリカを見つけて心の中で絶叫した、といふ話はすでに書いたとほり。
お料理もののコーナーとかもあつたな。
ちよつともう思ひ出せないけれど、書ききれないくらゐの小道具が展示されてゐる上に、高橋岳蔵といふかインディ高橋といふかによる手書きメモが各所に貼られてゐたりして、気が抜けない。
ここも下手すると一日かけられるな。もつとかかるかも。
その先に「この先逆流禁止」の注意書きがあつて、ちよつと細い廊下のやうになつた部分の両脇の壁にお面がかざられてゐる。
うわー、「七芒星」だよー、と思ひながら進むと、「五右衛門vs轟天」当時の楽屋をちよいと再現したエリアにたどりつく。
着到板もここにある。
棚には舞台に持つて出る小道具が役別にトレーに載せられてゐたりする。
かうして見るとマローネさまの扇つて案外小さいのね。アンドリューの銃とかも。
舞台で使ふものだから、もつと大きいものだと思つてゐたよ。
Dr.チェンバレンの計算尺も思つてゐたより細かつた。
といふか、この計算尺、スライドしないぢやんよ。それどころか、カーソルもないよ。
計算できないぢやん!
計算尺ぢやないぢやん!
と思つたけれど、もしかしたらDr.チェンバレンならこれでも計算できるかもしれないので(どーやつてだ)、それでよしとしたい。
刀とか剣とかはちよつと深めの箱につめこまれてゐて、使用する人の名前の書かれた札がついてゐたりする。
かうやつて判別するやうにしてゐるのねえ。
化粧前は二人分。
ひとつは中谷さとみ、といふことは記憶にあるのだが、もう一方は保坂エマだつたかなー。ここはまた確認しにいかう。しにいつたら変はつてるかもしれないけれど。
実際に楽屋で使つてゐただらうものがあれこれ展示されてゐて、「かういふものを使つてゐるのかー」と大変興味深い。
そのうしろには、衣装替へのある役の人の衣装がわりと無造作に並んでゐる。
後半のエスパーダの衣装、思つてたよりずつと派手だつたな。
その先に、「心臓の弱い人はのぞいてはいけない」といふ旨のことはり書きがあつて、舞台で使用した生首とか死体とかが展示されてゐる。「五右衛門vs轟天」エリアにあつてここだけはいろんな芝居で用ゐたものが飾られてゐる。
染五郎とか古田新太とかそつくりそのまま。
いや、怖いの苦手だからじつくり見られなくてそれくらゐしか記憶にないのさね。
すまぬ。
その先に行くと開けたところに出て、「五右衛門vs轟天」の全登場人物の衣装が飾られてゐる、のらしい。
雛壇にマネキンが並んでゐるので、上の真ん中の方の衣装はよく見えないのが残念である。
下手側(といふか)に行くと、ばつてん不知火の衣装とかばつちり見ることができるけどね。
このそばには解体されたヤッターゴエもあつて、客席からはよく見えなかつた今週のビックリドッキリメカなんかも間近で見ることができる。
ヤッターゴエの前方で、「五右衛門vs轟天」内にあつた「通りすがり」部分の上映もしてゐる。
やつがれが見たときは鉄腕イワンとアンヌさまだつた。
鉄腕イワンねえ。
轟天と鉄腕イワンとがいずみちやん……ぢやなくて、まあいいか、とリヴァーダンスで戦ふ、とかあつたよねえ。
轟天とイワンとはそのあと倒れ伏しちやふんだが、いずみちやん(ぢやないよ)はそのあともセリフとかあつて、「すごい、すごいよ」と思つたなー。懐かしい……
ぬらくら森の人々の乗り物(履き物? 履かせ物?)とかも間近で見られるし、食ひ倒れ人形といふか道頓堀人形といふかも一周ぐるりしみじみと拝見した。
その向かひに撮影許可ポイントがある。
劇中の人のコスプレをして写真も撮れるのらしい。
ここは賑はつてゐたのでスルーしてしまつた。
あとは物販コーナーがあつて、着到板を模した札に感想を書くコーナーがあつて、おしまひ。
外に出たらちやうどシネイクントでの上映が終はつたところだつたのか、入場するのに待ち列ができてゐた。
とりあへず、あともう一度くらゐは行きたい。
展示品の中にこの秋冬に編みたいものの参考になる衣装があつたのでなー。
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