かばんと文房具
今日どのかばんを持つて行くか。
毎日悩んでゐる。
ここ三日ほどは、ル・ボナーのミセスとヨハンナ・グリクセンの手提げを持ち歩いてゐる。
ミセスには定期券入れだとかお財布だとかiPhoneだとかのあれこれを入れ、ヨハンナ・グリクセンには文房具を入れてゐる。
ヨハンナ・グリクセンの手提げは、去年ヘルシンキに行つたときに買つた。
旅行日程には「ヘルシンキの郊外車で二時間」といふところにある裂き織り工房に行つたとき、ツアーガイドの方がすてきなポーチを持つてゐた。
それがヨハンナ・グリクセンだつた。
ガイドの方のポーチは、白に灰色の格子模様で黄色がアクセントになつてゐた。
いい。
これはほしい。
普段ブランドものにはあまり興味のないやつがれだが、そのときはくるほしくさう思つた。
ヘルシンキでヨハンナ・グリクセンの店に行つて、この手提げを見つけた。
白に灰色に黄色のやはらかさはないが、はつきりきつぱりした中にも白い部分には白と灰色との糸が使はれてゐたりして、なんだかいい。
形に不安はあつたものの、買つてしまつた。
形への不安は現実となり、帰国後は使つてはしまひ、使つてはしまひのくり返しだつた。
とくに最近は「荷物はひとつにまとめたい」といふ気持ちが強く、荷物をわけて手提げを持つことはあまりしたくなかつた。
しかし、荷物をひとつにまとめるといふことは、一局集中型で重みがかかるといふことである。
たとへばブロガーズトートとかル・ボナーのタンクトートとか、それひとつでなんでも入つてしまふ安心感はある。
だが、肩にかけたりしたときの重さが、ね。
電車の中で立ちつぱなしとかだと実にこの重さがこたへる。
しかも、大きいので通勤電車の中では邪魔になる。
なんでも入つてゐるので、網棚に載せるのは気が引ける。
気が引ける、といふよりは、不安だ。
あの中に財布も定期入れも鍵も入つてゐる。
それを網棚の上に載せる? 手元からはなして?
ないな。
ない。
それでも「これひとつ持つたら忘れものなし」といふ安心感にはかへられぬ。
などといろいろ悩んでゐたが、腰痛には勝てず、荷物をわけて持つことにした。
ヨハンナ・グリクセンには、文房具だけ入れてみたらどうだらうか。
そのときさう思つた。
といふわけで、いまはこんな感じで中身を入れてゐる。
Wildswans の Owl B6 サイズがギリギリ入る。
その両脇にスケジュール帳とペンケースを入れてゐる。
これで結構いつぱいなんだけど、ペンケースならあともうひとつくらゐ入るかな。
持つてみると、これが案外いい感じである。
持ち歩きたい文房具が全部入つてゐる、といふのがまづいい。
いまはミセスと一緒に持ち歩いてゐるが、別のかばんに変へてもこの手提げを持つて行けば文房具はすべて入つてゐる。
帰宅後も、この手提げを手元においておけばいい。ノートでも萬年筆でも使ひたいものがさつと出てくる。
必要なものがすべて入つてゐるわけではないのだが、でもまあ、一応これで忘れものはなくなるから、さ。文房具の、だけだけど。
かうやつて考へてみると、一番いいのはブリーフケースを持つて、こものをこぶりなショルダーバッグに入れる、とかなのかなあ。
ブリーフケースならA4サイズでも入るだらうし。
ブリーフケースなんぞ持つてはゐないから、そこはブロガーズトートとかタンクトートに置き換へるんだらうけども。
悩みは尽きない。
ところで「車で二時間」つていつたらもう「ヘルシンキの」郊外ぢやないよね。
新宿から車で二時間つて中央道でいつたら双葉インターだぜ。
双葉は「東京の郊外」なんだらうか。
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