横浜人形の家赤いくつ劇場 平松加奈ミニライブを聞く
8/16(日)、横浜人形の家の赤いくつ劇場で平松加奈ミニライブを聞いてきた。
横浜人形の家では9/6(日)まで「ホームズ&ワトソン 推理の部屋」展を開催してゐる。
NHK教育TV(とはもう云はないのかもしれないがやつがれは云ふ)で放映されてゐた「パペットエンターテインメント シャーロックホームズ(以下「人形劇シャーロックホームズ」)」の人形や大道具小道具が展示されてゐる。
ミニライブはこの展覧会の一環として開催された。
平松加奈は「人形劇シャーロックホームズ」の音楽を担当してゐた。
赤いくつ劇場でのライブといふことで赤い靴で来たのださう。
番組内では弦楽四重奏とパーカッションによる演奏だつたりときにオーケストラによる演奏だつたりしたBGMを、ヴァイオリン一本とパーカッションだけで演奏するといふ主旨のライブだつた。
「ガール・クレイジー」といふミュージカルに、「Bidin' My Time」といふ歌がある。
男声四部合唱の歌だ。
これが「クレイジー・フォー・ユー」といふミュージカルになると、なぜか男声三部合唱になつてゐる。
「ガール・クレイジー」に慣れてゐると、「クレイジー・フォー・ユー」の「Bindin' My Time」はなんとも薄つぺらで、聞いてゐられない。
ひとり欠けるだけでこんなに違ふなんて。
なんでひとり減らしたんだらう。それで得られる効果つてなに? 薄さ? 軽さ?
人件費を浮かせたやうにしか聞こえないなあ。
さう思つてゐたので、このミニライブもはじまる前はすこし不安だつた。
でもはじまつてみたらそれは杞憂だといふことがわかつた。
主旋律とリズムとのヴァージョンとして聞けたからだ。
赤いくつ劇場は、人形劇を上演するやうなちいさな劇場である。
そこにPAが入つてゐるといふのも最初のうちはチト不安だつたが、曲想からいくとこれまた問題ないことがわかつた。
幕が開くと、舞台一面に打楽器が並べられてゐた。
パーカッションは海沼正利が担当してゐて、ドラムやマリンバその他数多の楽器を演奏した。
ライブの内容は、番組内のBGMを演奏しつつ、時にイントロクイズが入つたり、客席から有志を募つて一緒に演奏に参加させたりしてゐた。
13時開演では、イントロクイズは三問あつて、最初の一問は正解者がゐなかつたけれど、あとの二問は即答者がゐた。最初の一問のときはみんな遠慮してたんぢやないかなあ。だつてほんのちよつと前に演奏してゐた曲だつたし。
客席の有志が演奏に参加した曲はラングデール・パイクのテーマだつた。
さきほどのイントロクイズ二曲目の即答者はじめ、いはゆるちいさいお友達が四人、マラカス、トライアングル、ウッドブロック、ヴィブラスラップをそれぞれ演奏した。
演奏前に海沼正利から指導があつて、この時点から四人ともよくできてゐた。
みんななにかしら音楽の素養があつたんぢやないか知らん。ピアノを習つてゐる、とかさ。
でもピアノはほぼ独奏の楽器だからな。
この試みは見てゐる方もおもしろかつた。
合奏つて楽しいな、とちよつと思つた。
楽隊にはもう戻らんと心に誓つてゐる他人と一緒に行動できないやつがれが云ふのもなんだけれどもな。
楽器といふと、やはり楽器つて不思議だなあ、と思ふ。
ヴァイオリンの演奏についていふと、弓の端から端まで使つたひろくゆたかな音が好きなんだけれども、さうでない演奏の仕方ももちろんいい。
ピチカートとか、聞いて楽しく見て楽しい。
「人形劇 シャーロックホームズ」のBGMといふことで、ユーモラスな音楽やちよつと恐ろしげな音楽が多いと思ふのだが、切ない曲もまたいいし。
それも、楽器からさういふ音が聞こえてくるのがおもしろい。旋律が、だけではなくて、音が、ね。
もうひとつ、楽器でいふと、開場前に緞帳の向かう側から調弦の音が聞こえてきてゐて、ヴァイオリンぢやないし、なんだらうと気になつてゐた。
音の正体はカーヌーンといふアラビアの楽器だつた。
弦が72本だか76本だかあつて、当然すべて調弦しなければならない。
そら大変だわ。
このときの説明では、チェンバロの祖先、ひいてはピアノの祖先といふことだつた。
右手に琴の爪のはたらきをするものをはめて、左手で弦を押さへたりして演奏するやうに見えた。
「転校しないで五絃琵琶」ぢやないけれど、「遠い国の音がしてどこか少しさみしくて」といふやうな感じだなあ、といふのが第一印象だ。
でもアイリッシュ風の曲に使ふとそれなりに楽しく聞こえてくるんだよなあ。
ちよつと興味あるなあ。
平松加奈も海沼正利も終始楽しさうだつた。
いいなあ、あんな風に楽しさうに演奏できるなんて。うらやましいやね。
いいなあ、「人形活劇 新三銃士」や「人形劇 シャーロックホームズ」にはサウンドトラックのCDが売られてゐて。
「人形劇三国志」とかにはないからねえ。
ただ、「人形劇三国志」の方がよかつたことがひとつだけある。
放映当時、NHKのスタジオで「音入れ」と称して各話のBGMを録音してゐて、これを見学することができたこと、である。
「人形活劇 新三銃士」や「人形劇 シャーロックホームズ」の方法だとこれはできなかつたんぢやないかな。
「人形劇三国志」の音入れ、聞きにいつたもの。
最初「音入れ」と云はれてもなんのことだかさつぱりわからなくて、でも「人形劇三国志」に関するなにかをするのらしい、といふだけでNHKセンターまで行つたんだよなあ。
いまはなにもかもなつかしい。
そんなわけで、ライブのあとは人形の展示を見て、それからミュージアムカフェで展示会にちなんだスペシャルメニューを食してみた。
これがスペシャルメニューのひとつ、Sherlock's Nose Dog Special である。
飲み物はクラフトビールかハートランド。
どこからどうみても大人向けだよな。
展覧会についてはまたあらためて書くつもり。
ひとこと云ふなら、ニャーロックホームズよりはノートン先生とかダグラスさんとか、人形劇に出てきた人々に会ひたかつたなあ。
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