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Wednesday, 19 August 2015

2015 人形歴史スペクタクル 平家物語 上映会に行く

8/14(金)、渋谷ヒカリエにある渋谷区防災センターに行つて、「人形歴史スペクタクル 平家物語(以下「人形劇の「平家物語」」)」の上映会を見てきた。

2012年からこのかた毎年8月の中頃になると、この上映会が催される。
2012年は「人形劇三国志」から五話を選んで日替はりで上映してゐた。このときは朝からだつた。「ラ・マンチャの男」のマチネに行く前に「関羽の死」を見てから行つたから確かである。
2013年以降は、渋谷ヒカリエは川本喜八郎人形ギャラリーのそのときどきの展示に合はせて人形劇の「平家物語」を上映してゐる。

今回の「平家物語」の展示は「義仲入京」と「平家都落」だ。
今年の上映会では、人形劇の「平家物語」から第三部「乱」を上映した。
清盛はすでに亡い。第二部の最後で死んでしまつた。
第三部は、頼朝と義仲との都入りをめぐる駆け引きにはじまつて、義仲の死で終はる。
主役はほぼ義仲だ。

この義仲がねえ、どうしやうもない人間なんだけど、魅力的なんだよねえ。

いま川本喜八郎人形ギャラリーにゐる義仲は衣冠束帯姿だ。
前回の展示のときは、鎧を身につけ馬に乗つてゐた。
後ろ脚だけで立つ馬の上で、頼朝のゐる方角を見据ゑてゐた。
これがまあ実にやうすがよくてね。
衣装も鎧が緑色で籠手が赤地に金、鎧直垂がちよつとだけ明るめの紺地に金といふ、派手な色合ひなんだけど、これが似合ふんだよね、また。

四天王を従へた上、左右に巴と葵とを並べたところなんか、はた云ふべきにもあらず、といつた風情だつた。

その義仲が実際に動いてゐる姿を見ると、どうしやうもない人間であると思ひつつも、惹かれてしまふ部分もある。
有り態にいつて、「カッコいい」からだ。

などと云ひつつ、新宮十郎が出てくると、つい新宮十郎ばかり見てしまふんだがね。
新宮十郎は残念ながら今回の展示にはゐない。前回の展示にはゐて、このときは義経を困らせる(といふか)役回り、と説明されてゐたやうに思ふ。
こどものころの刷り込みで、新宮十郎は苦手なはずなんだけどなあ。
しかし、いろいろとこすつからい悪巧みをしてゐる姿を見ると、「ヤな奴」と思ひつつ、これまたなんだか惹かれてしまふ。

その新宮十郎も後白河院にはかなはないけどねー。
後白河院は去年のいまごろギャラリーにゐた。鹿が谷の陰謀の展示だつた。
この院がまたステキでねえ。
このときの展示では、ちよつと若いころの時忠と後白河院とがほんたうによかつた。
どちらもあらぬ方向を睨んでゐて、その目の鋭さがたまらなくてね。

人形劇の「平家物語」の後白河院の食へなさ、とらへどころのなさ、「悪党」とはいはないがそれでゐて「いい人」といふ感じは一切ないところなんかがいいんだよねえ。
義仲はもとより、新宮十郎なんか眼中にない。
さういふやうすもいい。

この院に勝るとはいへないが負けじと余裕なのが頼朝で、そんな頼朝の下で無聊をかこつてゐるのが義経である。

今回の上映分では、義仲の子・義高と頼朝の子・大姫とのそこはかとない交流が描かれてゐる。
好いたの惚れたのにはほとんど興味がないので、義仲と巴・葵・山吹の四角関係なんかは見てても「あー、はいはい。わかつたから話を先に進めてー」とか思つてしまふのだが、義高と大姫とはちよつと別だ。
なんといふか、切ない。
義高は凛々しく、大姫はどこかおほどかでおつとりかまへてゐる。
戀人といふよりは同志といつた趣が切ないのかもしれないなあ。
義仲と巴・葵・山吹には「同志」といふ趣はないものね。

人質同然に鎌倉によこされた義高は一瞬失言をしたりもするものの凛と健気に暮らしてゐる。
そんな義高を、鞍馬山にあづれられたときの自分と似てゐるといつてなにくれとなく面倒を見てゐる義経もいい。
義経の周りには弁慶、政近、伊勢三郎がゐて、いづれもそれほど智恵がなさそーなのがこのあと不安だぞ。

あと伴卜と吉次との腹のさぐり合ひも見応へあり。
去年のいまごろ飯田市川本喜八郎人形美術館でこの二人の展示があつて、これが実によかつたんだよねえ。
互ひに互ひを見やつてゐる、その緊張感が、さ。
飯田の平家物語の人形は人形劇に出てゐたものではないけれど、さういふことはあんまし関係ないな、と思つたものだつた。

さて、例年だと上映会に合はせて川本喜八郎人形ギャラリーでは実際に人形を目の前で遣つてみせてくれたり、人形を遣はせてくれたりするガイドが実施されるのだが、今回は中止になつた
保管庫の停電で空調が止まり、衣装にしみやカビのできてしまつた人形がゐるのだといふ。
その養生や確認を行ふため、ガイドは中止にしたのだといふ話だ。
その後どうなつてゐるのかのう。気になるのう。

それとは別に気になるのは、上映会はこれまでは五日間ほどだつたと思ふのだが、今回は三日間だつたことだ。
上映会も今後はなくなつてしまふのかな。
残念だが、例年お盆の時期に土日をはさんで行はれる上映会なので、担当の方もいろいろと大変なのだらうと思ふ。
「見たいのなら買へ!」といふ話もあるしな。

でも、見ることに集中できる場で見られるといふのが貴重なのだと思ふのであつた。
勝手は承知だけれども。

といふわけで、今年も「死者の書」を見に行くかなあ。
今年は午後三時上映で、帰る時間が遅くなる上翌日が月曜日といふのがネックなんだよなあ。
まあ、まちつと考へやう。

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