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Friday, 10 July 2015

Writer's Block といふわけではなけねども

日々の雑記用に使つてゐるMoleskine ポケットサイズも残すところ3ページほどとなつた。
だいたい二ヶ月で一冊のペースだ。
以前は三ヶ月に一冊くらゐだつた。
前回Moleskineを使つたときだつたか、それともそのひとつ前くらゐからか、二ヶ月に一冊くらゐのペースになつてゐる。

ペースの変はつた所以は、「とりあへず思ひついたことはなんでも書かう」と思ふやうになつたからだ。
そもそもMoleskineをはじめとする雑記用手帳を使ふやうになつたきつかけは「とりあへず思ひついたことはなんでも書かう」といふことだつた。
すでに前人もいろいろ云つてゐる。
「とりあへず思ひついたことはなんでも書かう」と誓ひながら、案外「あ、これ書いておかう」と思つても案外人は書かないものなのだ。
書き記すものが手元にあつても、だ。

世に「writer's block」といふことばがある。
作家などが壁にぶちあたるなどして一時的に書けなくなることを指すのらしい。
俗に「スランプ」ともいふ。
それとはまつたく違ふけれども、なにか、書き記すことを妨げるものがある。
そんな気がする。

たとへば、以前は雑記用手帳に芝居のことなどほとんど書かなかつた。
書くとしたら見てきた芝居の感想だけだつた。
ときどき頭にふつとわく「あの役者でこんな役を見られたら」だとか、「あの役者とあの役者であの芝居をやつたら」だとか、過去に見てたまに思ひ出す芝居の話だとか、さういふことは一切書かなかつた。
意図して書かなかつたわけではない。
おそらく、無意識のうちに「それは書きとめるに足らぬもの」と判断してゐた。
block があつたわけだ。

なぜ書かないのか。
書きとめはじめて、その理由がわかつた気がする。
まづ、とめどがない。
書きはじめると延々と書いてしまふ。
しかも、下手すると次の手帳に変はつたらまたおなじことを書いてゐるやうな気もする。

あみものやタティングレースのこともほとんど書かない。
「今度あれを編まうかな」とか「あれを作りたいなあ」とか、さまざまなことが脳裡をよぎる。
でも手帳には書かなかつた。
これもおなじことを何度も書いてしまふからなんぢやないかな、といふ気もする。

おなじことを何度も書かないためには、一度吐き出したらそれをまとめておく必要がある。
そしてまとめたものを折に触れて見返す。
使つてゐる手帳に書いてあれば見返すこともあるし、Moleskineは見返したくなることにかけては最高の部類のノートである。
でも、次の手帳になつたら、まあほとんど見ないね。
使ひ終へた手帳は家にある。
家にゐる時間なんて、一日のうちどれほどもない。
したがつて、見返してゐる時間がないのだ。

それに気がついて、何冊か職場に置くやうにしてみた。
今度は置き場所が拡散してゐるのが気になる。
まあ、なにかとうまくいかないわけだ。

まとめた情報は電子データにしていつでも見られるやうにしておく、といふのも手なんだけどね。
実際、さうしてゐるものもある。

なぜかこれまであまり書かなかつた芝居の話やあみもの・タティングレースの話は、書き出してみると楽しい。
なんでこんなに楽しいことをいままで書かずにきたのだらう。
我ながら不思議に思ふほどだ。
なにが壁だつたのかね。
実際に動きはじめないと脳はやりたがらない、といふアレなのかな。

思ひついたことをなんでも書きとめるやうにすると、そのうち段々書きとめるべきこととさうでないことの区別もついてくるのだといふ。
残念ながらやつがれはいまだその段階に至つてゐない。
そのうち至るだらうと信じてゐる。

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