唐草模様が好きである
アラベスク模様といつた方が聞こえはいいだらうか。
唐草模様といふと泥棒の背負つてゐる風呂敷を思ひ浮かべる向きもあるだらうからだ。
しかし、あれがいいのである。
そんなわけで、ビーズタティングをはじめてしまつた。
Nina Libin のデザインしたものである。
これだと唐草模様には見えないかな。
もうちよつと模様をつづけてくねくねさせると唐草模様のやうになる。
はじめて芯糸にもビーズを入れるデザインを知つたのは、Nina Libin の作品でだつた。
多分最初は Web Page で見かけたのだと思ふ。
その後、Tatted Lace of Beads The Techniques of BEANILE Lace を手に入れて、いまに至る。写真の作品もこの本に掲載されてゐる。
このタティングレース作品のことはずつと気になつてゐた。
おそらく、はじめてみたときから唐草模様つぽかつたからだらう。
その時点ではまだ自分自身唐草模様が好きだといふことに気づいてはゐなかつた。
「もしかしたら好きなのかも」と思つたのは、手ぬぐひを持つやうになつたときだつた。
数多ある手ぬぐひの柄の中に、唐草模様がある。
最初は、「泥棒のやうだ」と思つた。
でもやつぱり気になつて買つてしまつた。
残念ながら深緑色の手ぬぐひはなかつたので、紺色地を選んだ。
紺色はどこか深緑色に似たところもあつて、気に入つた。
確実に自分は唐草模様が好きだ、と思ふやうになつたのは、つひ最近のことである。
飯田市川本喜八郎人形美術館や渋谷ヒカリエにある川本喜八郎人形ギャラリーに行くやうになつて、人形の衣装を見るにつけ、「いいなあ」と思ふものには唐草模様があしらはれてゐることが多いことに気がついた。
ほかの展覧会に行つても、たとへば先日東京国立博物館に「鳥獣戯画 京都高山寺の至宝」展に行つたときも、掛軸の天地や中縁、柱などを見て「いいなあ」と思ふものの多くには、そこはかとなく唐草模様が使はれてゐた。
さうかー、唐草模様が好きなのかー。
さう思ふにつけ、なんとなく頭の隅にひつかかるものがある。
それが Nina Libin のこの作品だつた。
茎の部分の1スティッチごとに上下にビーズが1つづつ入るあたりがことに好きだ。
しつかりした作りになるんだよね。
気をつけないと重たくなつてしまふが、このちよつとずつしりとした感じがいい。
タティングレースの場合、結び目が芯糸の上にくるので、長いチェインを作ると自然と曲線ができる。
途中で裏返してシャトルを持ち替へることで、曲線のふくらむ向きが変はる。
曲線の向きを変へる時や弧の中央なんかに適度にリングを散らすと、唐草模様のやうな模様ができる。
このくねくねとした感じがいいんだよねえ。
問題は、これを作つたところで使ひ道がないことだ。
布地に貼りつけて袋物かなにかを仕立てるくらゐしか思ひつかない。
そして、縫ひものは苦手なのだつた。
そのまま放置でもいいかな。
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