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Friday, 24 April 2015

着信音を気にする心をミュートする

上演中の携帯電話やスマートフォンの着信音は、無視するしかない。
あきらめ気味にさう思つてゐる。

芝居でも落語でもさうなのだが、いいところで客席から着信音が鳴る。
マナーモードの振動ならまだしも(それだつて周囲の人には大迷惑だが)、ほんたうに音がする。

いまのところ一番最悪だつたのは、新橋演舞場で見た「盛綱陣屋」だ。
仁左衛門の盛綱がいままさに首実検せん、といふところで、鳴つた。
あり得ないだらう?
まあ、あつたんだけどさ。

先日聞いた話だと、柳家三三の高座で、あともう少しでオチがくる、といふところで鳴つたのだといふ。
三三は「電話に出てる場合ぢやありませんよ」とかなんとかその場はしのいだらしいが、内心煮えくり返つてゐただらうことは想像に難くない。

クラシックの演奏会ではさういふ話はあまり聞かないなあ。単に聞かないだけな気もするが。

演奏会にしろ芝居にしろ落語にしろ、わざわざ出向いて行くわけだ。
チケットはもしかしたら無料でもらつたものかもしれない。
しかし、時間と場合によつては運賃とをかけてホールや寄席まで行く。
そして、これまた時間をかけて演者の芸を見たり聞いたりする。
しかるになぜ携帯電話やスマートフォンの電源を切ることができないのか。
不思議でならない。

老人の場合は、電源の切り方を知らない人がゐるのだといふ。
実際、やつがれも隣の席の老婦人に頼まれて携帯電話を切つてさしあげたことがある。
かういふ人は切り方を知つてゐれば切るのだらう。
係員は開幕直前に「ここを長押しすると切れます」といふやうな看板を掲げて客席内を歩いてみてはどうだらうか。
松竹系の劇場に行くと、幕開き前に係員が客席内を歩きながら「携帯電話、スマートフォンの電源はお切りください」だとか「上演中のお喋りやご飲食、ビニール袋の音はご遠慮ください」だとか云つて回つてゐる。
それに看板をつければいいやうな気がするがなあ。
スマートフォンの場合は機種によつて切り方が違つたりするだらうか。
だとしたら無理かな。

また、これも老人に顕著なのださうだが、電話といふのはいつでもつながるものといふ認識でゐるのだといふ。
さらには、電話とは音が鳴るものなのだといふ。
ゆゑに、マナーモードの存在など知る由もないし、そもそも電話が鳴らないやうにできるなどとは考へてもみないのださうだ。
それもあり得さうだなあ。

理解できないのはあるていど若い客だ。
携帯電話やスマートフォンの電源の切り方も心得てゐるだらうし、劇場や寄席に来るくらゐだから世間の常識はひととほりわきまへてゐるだらうと思はれる人々である。
これが、上演中にずーつと携帯電話やスマートフォンを見てゐたりするんだよね。
歌舞伎の場合は客電を落とさない演目もあるのでさう気にならないこともある。
でもその他の演劇の場合は気になるよ。暗い客席にそこだけ明かりがぼーつと灯つてゐるわけだから。
これも新橋演舞場だが、初春興業で隣の席の人が一幕中ずーつとスマートフォンを見てゐたことがある。
電波は抑制されてゐるはずだから、更新はされないはずだし、電池の減りもバカにならないと思ふのだが、ずーつと画面を見てゐて、時折くすくす笑つてゐた。
なんだつたんだらう、あの人は。
それくらゐだつたらロビーでのんびり見てればいいのに。

携帯電話やスマートフォンのなかつた昔にはもう戻れない。
そして、使用マナーの確立にはまだ少し時間がかかりさうだ。
マナーなんてできないかもしれない。
さうも思ふ。

自衛の策としては、「鳴つても気にしない」、それしかないのかな。
上演中のお喋りも気にしない。
ビニール袋ががさがさ云つてゐる? 気のせゐ気のせゐ。
さういふ「スルー力(ちから)」を養つていくしかないのだらう。
納得いかないけれども。

それでも、「盛綱陣屋」のおなじ場面で着信音が鳴つたら。
気にせずにゐられる自信はない。

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