その後の JET8 または正しくペンを持つことについて
S.T.Dupont の Jet8の芯を替へた。
インキが切れたからである。
去年の二月の終はりに買つたので、一年とすこしといつたところか。
一時は使ひづらくて苦労した。苦労したことについてはこのblogでも書いた。
それが、現在ではとても楽しく使へてゐる。
使ひづらかつたのは、ペンが暴れまくるからだつた。
思ひどほりの線が引けない。
罫線にしたがつて字を書かうとすると、字がはみでてしまふ。
このじやじや馬め。
それが、あるときから非常に使ひやすくなつた。
いつからか。
正しいペンの持ち方をするやうになつてからだ。
いや、「ペン」といふと違ふかな。
正しい鉛筆の持ち方をするやうにしてみた。
すると、おもしろいほど思ひどほりに書けるやうになつた。
びつくりだね。
ペンの軸に人差し指を沿はせて書くと書きやすい。
正しい持ち方をバカにしちやあいかんね。
ボールペンは苦手である。
書いてゐると、どんどんペンが紙に対して垂直になつてしまふからだ。
これはもちろんやつがれのせゐであつて、ボールペンが悪いわけではない。
もうひとつ、とくに水性ボールペンの場合、不意にインキがとぎれることがあるからだ。
インキはまだまだたくさん残つてゐるのに、なぜか途中で線がとぎれる。
なぜなのかのう。
そんなやつがれがデュポンのジェット8を買つた理由は、店頭で書いてみたらおどろくほど書きやすかつたからである。
ボールペンとは思へない書き味だつたんだよね。
万年筆で書いてゐるのとそんなに変はらない。
パーカーのインジェニュイティ(持つてゐません)より万年筆のやうな書き味なのではあるまいか。
正しい持ち方をする以前も、無地や方眼用紙に心のおもむくままに書き散らすやうなときは実に気持ちよく書けるペンだと思つてゐた。
それが、上にも書いたやうに罫線にしたがつて文字を書かうとするとダメだつた。
正しい持ち方をするやうになつた現在では Kein Problem ですよ。
JET 8。いいペンだ。
三菱鉛筆のジェットストリームもいいボールペンだ。
これも店頭で試し書きしたらとてもよかつたので、家で仕事をしてゐた家族に買つて帰つたところ、これまた大好評だつた。仕事をしてゐるあひだはこればかり使つてゐて、たいして文房具にこだはる質でもないのに細字と太字とそろへてゐたほどである。
自分用にも買つて、しかし、やはりあまり使ふことはなかつた。
上にも書いたとほり、書きづらかつたからである。
どんどん垂直になつていつちやふんだよね。
ジェットストリームも正しいペンの持ち方で書いてみたらまた印象が変はるのかもしれないなあ。
今度試してみやう。
JET 8は、正しいペンの持ち方をしやすい形状をしてゐる。
角柱をちよつとつぶして流線型にしてみましたといつた形だ。
面の広い部分は丸みをおびてゐて、細い部分はほぼ平らである。この細くて平らな部分に人差し指をおくと、自然な感じでペンと指とが沿う。
また、以前も書いたやうにペン自体の自重で筆圧をかけなくても字が書ける。
いい。
いいぢやあないか。
これだよ、あの日 K.ITOYA 1904 の店頭で一目惚れしたボールペンは。
といふわけで、写真のとほり、二本使つてゐる。
青い軸は二月に買つもので、銀色の軸は翌月悩みに悩んで買つたものだ。
もともと、銀色の方がほしかつた。
でも銀色はより指紋のあととかが目立ちさうだ。
それで青い軸にした。
しかし、銀色にも未練がある。
それに、黒字だけでなく青字のペンもほしかつた。
そんなわけで、去年日本橋丸善の世界の万年筆展で、消費税率のあがる前だからと理由をつけて買つてしまつたのだつた。
買つてしまつて、でも使ふやうになつたのはつひ最近のことである。
正しいペンの持ち方をすれば使ひやすい、といふことに気がついてからのことだ。
案の定、使ふたびに指紋がついて気になつてしまふ。
そこはこまめに拭いて対応してゐる。
まさか自分がボールペンを好んで使ふ日が来やうとはね。
お釈迦さまでも気がつくめぇ。
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