ほどきません
あみものやタティングレースをしてゐて、途中で間違ひを発見してしまつた。
さて、どうする?
やつがれの場合は、「そのまま」にすることが多い。
まあ、程度問題だけれどもね。
二目ゴム編みのセーターを編んでゐたときは、表目と裏目とを取り違へるとそらー悲惨なことになつたので、そこはなほしながら編んだ。
ほとんどは二十段近く下にあるのを見つけて、仕方なくそこだけ目を落としてかぎ針で拾ひなほした。
全部ほどく、といふのはあまりやつたことがない。
途中までほどくなら何度かある。
とくにかぎ針編みならやりやすい。
なぜほどかないのかといふと、ほどいた後の糸の始末に困るからである。
あのー、なんで毛糸とかつて、あんなに絡まるんですかね。
こちらは単に糸をほどいてどんどん重ねていつただけのつもりなのである。
糸が絡まるやうなことなど毛ほどもしてゐない。
しかるに、なぜか糸は絡まつてしまふ。
なるほど、これがエントロピー増大の法則か、とも思ふが、そんなこと知りたくなかつたよ。
毛糸、と書いたが、綿のレース糸などでも「エントロピー増大の法則」は発生する。
ふしぎだよなあ。
あみものは、針を抜いてびーつと糸を引つぱれば、かんたんに糸をほどくことができる。
モヘアとか毛足の長い糸だとむづかしいこともあるけれどもね。
タティングレースはさうはいかない。
単に糸を引いただけでは目がつまるばかりだ。
芯糸に結びつけた目をひとつひとつ丁寧にほどいていくしかない。
そんなわけで、タティングレースでは滅多に糸をほどいたことはない。
最近はそれでもリングの芯糸を戻すのがすこし上手になつたのでほどくこともあるけれど、基本的には放置か切つて捨てる。
糸がもつたいないとお腹立ちの向きもあるかもしれない。
しかし人生は短い。タティングレースの目をほどく余裕などない。
間違へたらきつぱりと切つて捨てる。
さうでもしないと、まつたく先に進めなくなつてしまふ。
なるほど、糸がもつたいないから間違へたらほどいてなほしませう、といふ人は「先に進まなくてもいい」といふ考へ方なのかもしれないな。
それならやつがれも賛成したい。
賛成したいところだが、しかし、糸より時間がもつたいない。
糸は最悪買ふことができるかもしれない。
でも時間は買へない。
さういふことならニードルタティングがいいのかもしれないな、と、ときどき思ふ。
ニードルタティングなら針に糸を巻き付けてゐるうちは、針さへ抜けば糸はそのままほどけてしまふ。
最近ニードルタティングしてないなあ。
しかし、やつがれには The Twirly をつなぐプロジェクトがあつたのだつた。
現在四十枚目のモチーフをつないでゐるところである。
うーん、これもなんか、もつとこー、たくさん作りたいんだけどなあ。
なにかと時間がままならぬ。
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