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Wednesday, 11 February 2015

私生活はどうでもいい

好きなことを訊かれるとかたまる仕様である。
そんなわけで、好きな役者の話を他人にすることはあまりない。
どの役者が好きかといふ点も同様だ。

歌舞伎を見る上で、役者の魅力といふのはかなり大きい。
おなじ演目でも配役が変はるとがらりと印象の変はるものだ。

それはわかつてゐて、なぜ好きな役者の話をしないのかといふと、役者に縛られるのがイヤだからである。

たとへば、甲といふ役者の好きな乙といふ人がゐるとしやう。
それと知らずに乙さんに、「この前これこれかういふ芝居で甲を見たけど、てんでよくなかつた」などと口走つてしまふとする。
すると、乙さんは云ふのだ。
「でもね、甲はとつてもお稽古熱心なの。親孝行で、奥さん思ひでもあるのよ」

うーん、それつて、芝居の出来と関係ありますかね。
極端な話、甲が稽古熱心だらうが不真面目だらうが、そんなことは客にはまつたく関係ない。
稽古が嫌ひでもすばらしい舞台さへ見せてくれればそれでいい。
親孝行か奥さん思ひかなんてもつと関係ないよね。
でも、ある役者にほんたうに入れ込んでゐる人はさういふことを云ひがちなのである。

もつといふと、甲には全国津々浦々に浮気相手がゐる、とかでもまつたく構はない。
そんなの、芝居を見にくる客には関係ないぢやん。

さう思ふのだが、どうも乙さんのやうな人には通じないやうだ。
人つてわかりあへないのね。
ほんとに好きな役者なんだつたらさー、もつと厳しい目を持たうぜ。
さうも思ふが、口に出しては云はない。めんどくさいしね。

「芸人は人格が大切」とかいふ意見もある。
それはさうかもしれないけど、でもなんとなく、人間として問題のある人の方がいい役者になる気もするんだよね。
それに、人格がいいかどうかは本人の問題で、これまたやはり客がそこを気にしても仕方がないことだと思ふ。

それと、かつては苦手だつたはずの役者がある芝居ではよかつたりとか、その逆だつたりとか、さういふこともある。
あんまり先入観とかない方がいいんだよね。
数見てくるとなかなかさうもいかないことも多いけどさ。

まあ、芝居は楽しければそれでいいんだけどさ。
「おもしろいことおもしろいこと」、だよ、歌舞伎は。

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