注意力散漫
年明けからこの方、ミスが多い。
最初は、日曜日にすると決めてゐる排水溝の掃除を忘れたことだつた。
冬休み最後の日が日曜日だつた。
休みボケで忘れてしまつたのだらう。
そのときはさう思つた。
どうやらさうでもないらしいことに気がついたのは翌週のことである。
次の日曜日もまた、夜になつて掃除をしてゐないことに気がついた。
云ひ訳はある。
今年からまた日曜日に平日分の夕食のおかずを作りためることにした。
いままでしてゐなかつたことが増えて、それで今までの習慣を忘れてしまつたのだらう。
そのときはさう思つた。
だが、忘れ物はあとをたたない。
先日も書いたやうに、社員証を忘れてしまつたこともある。
資源ゴミの日は前日の夜に牛乳パックがあれば出しておくのに、それも忘れたときがある。
なんといふのかな、これまでできてゐたことができなくなつてゐる。
毎日おなじ時間に起きるといふ今年の目標も原因のひとつであらう、とは以前も書いた。
寝る時間を確保するために、そのほかのすべてがおろそかになつてゐる。
それでいいのか、と自問することもある。
睡眠時間はすべてに優先するだらう、と自答もする。
しかし、今月に入つて湯島天神に行くはずが湯島聖堂に行つてしまつたり、メールの誤送信をしたり、これまでしなかつたやうな失敗が重なつてゐる。
もしかしたら、認知症なのではあるまいか。
認知症が「認知症」と呼ばれぬ昔は、頑固な人がなりやすいと云はれてゐた。
頑固なことでは人後に落ちぬやつがれである。
知つて、ひどく不安になつたものだつた。
いまでも不安である。
そして、その不安が的中しつつあるのではあるまいか。
世間的に認知症と認められるには半年間症状がつづく必要があるさうである。
半年間。
手遅れにならなければよいが。
さて。
あみものの方では何度か登場してゐる Yarn Harlot こと Stephanie Pearl-McPhee が、著書にこんなことを書いてゐる。
買つても買つてもテープメジャーが行方不明になつてしまふ、と。
家中ひつくり返したら大量のテープメジャーが見つかるのではあるまいか。
そんな状態なのだといふ。
テープメジャーかあ。
テープメジャーはなくしたことはない。
でも人にはひとつ、Stephanie Pearl-McPhee にとつてのテープメジャーのやうなものがあるのではあるまいか。
やつがれにとつてのテープメジャー、それはタティングシャトルである。
といつて、個体認識できるシャトルがどこにあるかは把握してゐるので、問題はクロバーの psuedo-鼈甲シャトルだ。
一番最初に買つたシャトルもクロバーの鼈甲風シャトルだつた。
このシャトルが現在もあるかどうか。
たぶんない。
すくなくとも手元にはない。
どこか、次元の彼方に行つてしまつた。
それとも腐海の底にしづんでゐるのか。
捨ててはゐないので、家の中のどこかにはあるはずである。
まあ、あつてもそれとはわからないとは思ふ。
なにしろ、クロバーの鼈甲風シャトルが手元にありすぎるからだ。
手元にありすぎる理由のひとつは、一度糸を巻くとほどくのが面倒だからである。
もうひとつは、つひ買つてしまふから。
好きなものは買ひたくなる。
だいたいタティングシャトルといふのはひどく可愛い。
手のひらに握つてなほ余裕のあるちいさな姿。
糸を巻き付けたときの安定感。
作りかけのモチーフやドイリーをたらしたさまさへ愛らしい。
さすがにイメルダの靴と張り合ふほどの数はないが、それでも「使ふシャトル三千対」と、すでに元ネタがわからないやうなダジャレを口にしたくなるほど、我が家にはタティングシャトルがある。
そのはずである。
だが、いざといふときにはない。
どこかに行つてしまふのである。
まあ、最前もことはつたとほり、クロバーの鼈甲風シャトルに限つての話ではあるが。
クロバーのシャトルの中でもなぜ鼈甲風だけなのか、といふと、それ以外のシャトルはあまり持つてゐないからだ。
フローラだけ二組買つて、この10個はある場所を把握してゐる。
そのほか、GR-8 Shuttle とか POP-A-BOBBIN TATTING SHUTTLE とか個体認識のできるシャトルのありかも把握してゐるし、なかには使用中のものもある。
なぜなんだらうなあ。
やはり個体認識できないのがいけないのだらうか。
買つてきたら、マジックかなにかで印をつけたらなくならないかな。
今度ひとつやつてみるか。
新たに買つてきたら、またどこかに消へてしまふのではないかといふ気がしてならない。
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