文具BAR vol.3 神戸インクで酔わナイト見聞録 ステージイヴェント篇
2015/2/7(土)、表参道の文房具カフェで開かれた「文具BAR Vol.3~神戸インクに酔わナイト」に行つてきた。
今回はステージイヴェントについて書く。
まづはK3(Kキュービック)の方々による挨拶ではじまつて、ふるまひ酒が配られた。
製造元(?)は不二精機。
おにぎり成形機械メーカーとして国内トップのシェアを誇る会社である。
文房具好きのあひだでは「5年手帳」で有名だ。
手帳を作ることに比べたら焼酎を作ることなどまつたく不思議ではない。
機械の試作段階で使つたお米を利用してゐるといはれれば、「なるほどなあ」といつたところだ。
そんなわけで不思議ではないが……やつぱり不思議だなあ。
そんな不思議なお酒で乾杯した後、ナガサワ文具センターの竹内直行室長から「KobeINK物語開発秘話」が語られる。
「秘話」なのでどこまで書いていいのか謎だが、思つたことを書く。
昨日のエントリで、
東京にゐながらにして、ナガサワ文具センターの神戸インク物語全色を試し書きできるといふだけでも信じられないことだといふのに。と書いた。
そもそも、かういふことの可能なスペースが東京にない、といふのが不思議なくらゐだ。
と、このとき思つたことの理由が後に明らかになる。
ナガサワ文具センターがオリジナル文房具で全国に打つて出やうとした矢先、阪神・淡路大震災に見舞はれてしまつた。
その片づけに十年かかつてしまつた。
さういふ話だつた。
震災当時の写真を回覧してくだすつた。
中に、遠く六甲の山の写つてゐる写真があつた。
震災の片づけをしつつ、ビルの隙間から見える六甲山に心励まされた。
そんなやうな話もしてゐたと思ふ。
十年立つて、やはり全国へ打つて出やう、といふことでKobeINKの開発を再開したといふ。
もともと、神戸といへば海と山となので、最初のインク色にはどうしても海と山との色を入れたかつた。
それで六甲グリーンと波止場ブルーが生まれたのださうである。
もう一色、同時に販売された旧居留地セピアをペリカンスーヴェレーン800のカリグラフィーモデルに入れて愛用してゐる。
濃淡の感じやちよつと古色めいた色合ひがとても気に入つてゐる。
ほかにおもしろいな、と思つたのは、学校の先生がKobeINKを求めていく、といふ話だ。
とくに女子校の先生はきれいで可愛いピンクやオレンジを選ぶといふ。
学校の先生だから、採点のときに使ふんだらうな。
竹内室長は「お洒落な先生」と云つてゐた。
神戸には有名な女学校がある。
なんとなく、元町ルージュや岡本ピンクを買つて帰る先生の姿が目に浮かんだ。
これはお土産にいただいたKobeINK物語のクリアファイルである。京町レジェンドブルーまで全50色がそろつてゐる。
その後、竹内室長と「趣味の文具箱」の清水茂樹編集長との対談があつた。
うーん、スーヴェレーンの茶縞かー。いいよなあ。持つてないけど。
ここでは清水編集長の紙へのこだはりの話が印象深かつた。
それが高じてバンクペーパーを使つたノートを作つてしまつたといふ。
物販コーナーにあつて、試し書きもしてみたけれど、やつがれにはちよつと高級すぎるかなあ、と後込みしてしまつた。
だいたい、美篶堂で買つてしまつたバンクペーパーのノートをまだ死蔵したままだしね。
この二人にさらにBAR YUME-YA ZEROのマスターが加はつて、KobeINK物語オリジナルカクテル開発の話が展開する。
今回の文具BARで飲めるカクテル以外にもKobeINK物語オリジナルカクテルはあるのらしい。
神戸に行つて飲むしかない。
この夜はいろいろ悩んで六甲アイランドスカイを飲むことにした。
波止場ブルーはきれいな青で、こちらはきれいな空の色である。目にも楽しく飲んで甘いカクテルだ。
その後、K3はじめ今回物販コーナーに参加してゐるメーカーさんのプレゼンテーションがあつた。
ここでも神戸派計画のプレゼンテーションが気になつたなあ。
入店と同時に、グラフィーロ(GRAPHILO)の試し書き用の紙をもらつてゐたからである。
グラフィーロは神戸派計画が万年筆用に開発した紙で、「ぬらぬら書ける」のが売りである。
ステージイヴェントを見ながら、例によつて魏武や陳思王の詩を試し書き用の紙に書き散らしつつ、「うーん、グラフィーロのノート、買ふべきか否か」とずつと悩んでゐたからである。
しかし、そんなにノートばかり増やしてどうする。
といふ理性の聲が勝つて、物販コーナーに行つては逡巡し、立ち去るといつた状態だつた。
それが、そのあとの籤引き大会であたつてしまつたんだから、まあ、買はなくて正解だつたといふべきかなんといふべきか。
ほかにも、Kino.Qさんからポストカードをいただいた。
Kino.Qさんはだいたいはかれる「メジャーハンカチ」を先行発売してゐて、プレゼンテーションの時点ではすでに売り切れてゐたといふ。すばらしい。
プレゼンテーションで印象に残つたのは、Beahouseさんの心を贈る祝儀袋だ。
祝儀袋を広げると桜の形になつてゐたりハートの形になつてゐたりするといふもの。ご自身のご兄弟の慶事用に、と考へたものだといふ。
紙は山本紙業さんの開発ださうである。
三月発売予定なのらしい。楽しみだな。まあ、祝儀袋を使ふ予定はまつたくないけれども。
そんな感じで、あつといふ間に終はつてしまつた文具BARであつた。
文房具とお酒、いいぢやない?
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