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Monday, 22 December 2014

編めない毛糸

あみものは相変はらず停滞してゐる。タティングレースのモチーフ増産大作戦実施中だからだ。

その一方で、片づけなども少しづつではあるもののしてはゐる。
「大掃除」と呼ぶにはおこがましいが、まあ、「掃除」くらゐだらうか。いや、「掃除」ともいへないな。
「大掃除」にならないことへの罪悪感から、ほんの少しだけ、休みの日に「今回はここだけ」「次回はここ」などとminimumな片づけをしてゐる。

毛糸の在庫もほんの少しだけ確認した。
毛糸は、もう使ひきれないだらうな、と思つてゐる。
だから最近は毛糸屋にも行かないし、通信販売などで買ふこともない。
ある毛糸から使つていかねば。
日々さう思つてゐる。

しかし、なかなか使へない毛糸といふのもある。
たとへば、片づけをしてゐてでてきたイエーガーのラクジュアリーツイードがそれだ。
おそらく京都駅にあつたマスザキヤで買つたものと思はれる。
京都駅のマスザキヤ、もうないらしいよね。
この前行つたとき確認はしなかつたけれど、マスザキヤのWebサイトからは京都駅店の情報は消へてゐる。
いい店だつたのになあ。
京都に行くときは、意味もなく寄つたりしてゐた。
それで毛糸が増えていくわけだ。

Luxury Tweed は、おそらく最後の何玉かの一部だと思ふ。
Jaeger の毛糸といふと、Matchmaker が好きだつたなあ。中細もDKも両方とも。
マッチメイカーが廃番になつて、それで京都や大阪に行くたびにマスザキヤでちよこちよこ買ひ足してはゐたんだよね。我が家にはそんな半端な毛糸がたくさんある。「くつ下でも編めばいいや」といふので、二玉だとか三玉だとかしかない糸ばかりだ。
Luxury Tweed を買はうと思つた理由は、いまとなつてはわからない。
いまを逃したらもう買ふことはできない、と思つたのかな。
そんなわけで半端に三玉。とはいへ、Luxury Tweed は DK相当の太さがあつて、しかもおよそ 190m/50g といふ糸だから、長さはかなりある。
ウール65%、アルパカ35%の、モヘアのやうな糸だ。

なにを作らう。
いい糸だし、もう買ひ足すこともできないし、なにかいいものを作りたい。
やつがれのできる範囲でできるだけいいもの。
いや、さうすると、背伸びをしすぎる可能異性がある。
やつがれが「これならまあきれいにできる」と思へるやうなもののうち、できるだけいいもの。
そんなものを編みたい。

でも、そんなものはぱつとは思ひうかんだりはしない。
こんなときは Ravelry だ。
Luxury Tweed で検索をかけて、出てきたパターンを端から見やうとして挫折して、三玉くらゐで編めさうなものにしぼつて見てみた。
すなはち、マフラーとかショールとかである。

Ravelry をさんざん見た。
Luxury Tweed からの suggestion には心惹かれるものがなかつた。
それで、patterns からの検索も試みた。
あれこれ見て、やつがれの心にかなふものはなかつた。

Yarn Harlot に、こんなことが書いてある。
「この糸は、叔母がイタリアみやげとして買つてきてくれた糸だから使へない」「この糸は極上の糸だから使へない」「この糸はもう生産されてゐないから使へない」
さうして、手に入れたはいいものの、使へない糸がたまつていく、といふのである。
さうか。それつて、自分だけぢやなかつたんだ。
「この糸は大好きだつた糸で、でも高くて買へなかつたから、二玉だけ買つたけれど、どうしても使ふことができない」といふこの気持ち。
やつがれだけが抱く気持ちぢやなかつんだな。
読んだときにさう思つた。

大抵は、毛糸を購入するときになにに使ふかは決めてゐるんだけけれどもね。あまりそのとほりになつたことはないやうな気がする。
「手袋」とか「くつ下」とか、大ざつぱな決め方の場合はそのとほりになることもあるが、はたしてそれは「決めたとほりになつた」といへるのかどうか、チト疑問である。

そんなわけで、いろいろ考へて、「ぢやあ長いマフラーでも編んでみるかな」とふたつほど試してみたのだが……うーん、なにかが違ふ。
長さがあるので、ちよつとテクスチュアつぽい地にしやうかな、と思ふたのが失敗だつた。
もけもけした糸なので、編み地も当然もけもけしてしまふのである。すなはち、テクスチュアつぽい地にしてもそのテクスチュアつぽさが出ない。
ぬー。
それはそれとして編むかなあ。
それとも、いまはまだ「その時」ぢやあないのか知らん。
いづれ、「この糸にはこれだ!」といふ「まさにその時」といふ moment が訪れて、それでやつとその何ものかを編みはじめられるのぢやあないか知らん。

さう思つて、ひとまづ編むのをやめてみた。

もちろん、そんな moment は永遠にやつてはこないのであるが。

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