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Thursday, 25 December 2014

飯田市川本喜八郎人形美術館 人形アニメーション

12月6日に飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
今日は、人形アニメーションの展示について書く。

今回の人形アニメーションの展示は「蓮如とその母」である。
残念ながら見たことがない。一時間半くらゐの作品といふことなので、なかなか見る機会もなささうだ。
来年は蓮如生誕六百年だといふ。それにあはせた展示かな。

見たことがないので、展示とその説明とから得た知識からいくと、主人公は「その母」なのかな、といつたところか。
川本喜八郎がはじめて他人の手による脚本をもとに作成したものだといふ。
そのためもあつてか、作る人形もそれまでとは違ふところがある、といふ旨のことが説明に書いてあつた。

云はれてみると、ギャラリー最奥にあるケースにゐる法住の顔は、それまでの人形アニメーションの人形の顔とはちよつと違ふやうに思ふ。
たとへば「鬼」では、能面のやうだつたり文楽のカシラそのもののやうだつたりした。
「花折り」は、可愛くはあるけれど、やはりお面のやうな顔の登場人物が出てくる。
法住は違ふ。
こんな感じの文楽のカシラもないわけぢやあない。
ないわけぢやあないけど、ではどのカシラがもとになつてゐるのか、と訊かれると、ちよつと答へに困る。
それに、ちよつとばかりバタ臭い感じもする。
彫りが深いからかなあ。
衣装は白地に灰色と紺色、赤の帯状の柄にぼかしの入つたやうなもので、江戸時代の鳶職か火消しを思はせるやう配色になつてゐる。
これもこの人形にとてもあつてゐる気がする。

その向かつて右隣のケースには蓮祐と蓮如とがゐる。
蓮祐は穏やかな顔をしてゐて、憂ひに沈む蓮如を支へてゐる人、といつた感じだ。
蓮如は、「道成寺」に出てきた僧侶の顔をふくよかにおとなしくして、ちよつと年上にしたやうな顔立ちである。
先に書いたやうに、眉間に憂愁を刻み込んだやうな顔をしてゐる。
ひどく悩みが深さうだ。
こんな顔で、笑つたり喜んだりする場面はどうするのだらうと思ふくらゐである。
さう思ふだに、「蓮如とその母」を見たいといふ気持ちが強まる。

その右隣のケースには、若いおれんと長右衛門とがゐる。
おれんとは蓮如の母である。
素性を知られたため、弟・長右衛門とつれだつて里に帰るところ、と説明にはある。
おれんはうつくしく、どこか憂ひ顔である。蓮如の顔と似たところはないが、身と世とを憂ふところは母子で似てゐるやうに思ふ。
そんなおれんのそばにゐる長右衛門は、背が高くて気のいい人といつたやうすである。
深刻さうなおれんをそれとなく励ましてゐる、といつた感じにも見える。
長右衛門の衣装から、その出自がそれとなく知れるやうになつてゐる。

最後のちよつと大きめのケースには、向かつて左から東条坊、叡山の高僧、老いたおれん、おきょう、おてつが並んでゐる。

東条坊はどんぐり眼の乱暴な山伏といつた出で立ちで、その姿も動きがあつてちよつとユーモラスだ。

高僧は赤い豪華な法衣を着て座してゐる。皺だらけの顔からはどちらかといふと痩せた人なのかなといふ印象を受ける。
その場にかたまつたやうに座つてゐるせゐだらうか、世の中のことなど「我関せず」といつたやうすだ。

老いたおれんに若いころの面影を求めるのはチトむづかしい。
皺の刻まれた顔は、苦悩に満ちてゐるやうに見える。
それでゐて、どこか悟りをひらいた人のやうな表情でもある。
指先までとても繊細に表現されてゐて、そこにおれんの信仰心の厚さを見るせゐかもしれない。

おれんの隣には、おきょうとおてつとがゐる。
つれだつて、蓮如の講座を聞きにいく市井の人、と説明書きにはある。
おきょうは、真ん中でわけた長い髪を背中で束ねてゐる。灰色と灰色がかつた淡い桃色の胴抜のやうな衣装を身につけてゐる。鼻緒も薄い灰色だ。
おてつは、玉ねぎ頭で、朱色の地に黒の細かいダイヤ柄の衣装を着て、帯をかなり低い位置でしめてゐる。鼻緒は真赤。
おきょうは岸田今日子の、おてつは黒柳徹子のそつくり人形で、実際に本人が声をあてたのらしい。
実際にも、こんな風につれだつて、「蓮如様のお話を聞きにいきませう」「さうしませう」「今日はどんなお話か知らん」「さうねえ」などとにぎやかに喋りながら、人は蓮如の講座を聞きに行つてゐたのかもしれない。
「蓮如とその母」の展示は全体的に深刻さうだが、おきょうとおてつとにちよつと救はれる思ひがする。

展示室の外、ホワイエの展示は、今回は最小限といつたやうすである。
大きなかぶと三匹のこぶた、ヤンヤンムーくん三態にミツワガールズとほろにがくん、といつたところだ。
ほかにいつも飾られてゐる絵本がある。
その程度である。
今期は、ホワイエを使つた特別な催し物が多いのかもしれない。
そんな期待を抱いてしまふ。
なかなか行くこともできないんだけれどもね。

そんなわけで、全体的に駆け足ではあるものの、今回の展示については以上である。
展示替への前にもう一度くらゐは行きたいと思つてゐる。

「荊州の人々」についてはこちら
「玄徳の周辺」についてはこちら
「江東の群像」についてはこちら
「曹操の王国」についてはこちら
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「義経をめぐる人々」と「木曽と鎌倉」についてはこちら
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