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Monday, 17 November 2014

「質より量」の法則

「質より量」が重要だといふ。

最近、ティム・ブラウンの Change by Design> といふ本を読んだ。デザイン思考に関する本で、「デザイン思考つてなんだらう」と思つて読んでみたわけだ。

デザイン思考には五つのステップがあつて、そのうちの「創造」といふステップでは、「アイディアの幅を可能な限り広げる」のださうである。
つまり、多種多様なアイディアがたくさん必要で、すなはち「質より量」だといふのだ。

世に「ブレインストーミング」といふものがある。
会社勤めや宮仕への人でないと、あまり見聞きしないものかもしれない。
何人かであるものごとについて意見を出し合ふことをいふ。
ブレインストーミングでは、自分のものも含め、出てきた意見について否定的なことを云つてはならない。
とにかく意見を出す。
さういふ会議の形態である。

出てきた意見に否定的なことを云はないやうにすることで、どんどん多様な意見が出てくるやうにする。
それがブレインストーミングの肝だと思ふ。
つまり、意見の質よりも意見の量が必要だといふわけだ。

ブレインストーミングについては、職場ではあまり悪い意見は聞かない。
「ブレスト」などといふ略語になつてゐることを考へると、広く行はれてゐるものと思ふ。
だが、実際に多様な意見が出てくるかどうかは定かではない。
ブレインストーミングの効用については、疑問を呈する人もゐる。
スーザン・ケインがその著書 Quiet の中でブレインストーミングの効用はないといふ研究結果もある、といふやうなことを書いてゐるし、アリス・W・フラハティは「書きたがる脳 言語と創造性の科学」の中で、「実際にブレインストーミングをしても多様な意見などは出てこない。会社の意向に逆らふやうなことを云ふ社員などほとんどゐないからである」といふやうなことを書いてゐる。

それでゐて、世の中の会社人はブレインストーミングをやめやうとはしない。
たくさんの意見を出さうとすると、ほかにいい手がないからだらう。

ヲノサトルが、昨日の渋東ジャーナル改でおなじやうなことを書いてゐる。

習作、駄作、できの悪いものでも気にせず、とにかくガンガン作り続ける。すると、あるとき突然自分でも思いもよらない名作が生まれたりする。これは、ものを作る人なら誰でも経験していることと思う。

ブレインストーミングでさまざまな意見を出すのは、まづはアイディアを出しませうよ、といふことである。それを編集するのは、そのあと別途行ふ。
さういふことなのだといふ。

これつて、あみものでもさうだと思ふんだよね。
とにかく量をこなす。
さうしないと、まづうまくならないし、仕上げることができない。

いい作品を編めるやうになるかどうかはともかくとして、数をこなすことは重要だ。

あみものは、大まかにわけると、作り目・本体・伏せ目(仕上げ)の三つにわかれる。
作り目と本体の編む部分は、それなりにできるやうになる。
とくに編む部分はくり返しが多いので上達も早い。
けれども、編み終へることをしないと、いつまでたつても伏せ目ができるやうにはならない。
セーターなどの場合は、前後の身頃や両袖を編み上げて、それぞれつなぎあはせることをしないと、いつまでたつてもはぎやとじができるやうにならない。
一度はできるやうにはなつても、次にやるときには忘れてゐる。

「自分は不器用ですから」のやつがれが、ゴム編みの作り目や Twisted German Cast-on を使へるのは、一時ひたすらくつ下ばかり編んでゐたからだ。一目ゴム編み止めや二目ゴム編み止め、メリヤスはぎも同様である。
できはともかく、最初から最後まで作つた。
いつたい何足編んだらう。
「数へられるくらゐなら大したことない」といふ説を信じるならば、相当数編んだのだらう。

質はともかく、量を編むことで、できるやうになることもある。
ティム・ブラウンやヲノサトルの云ふてゐることとはかなり違つて恐縮だが、やつがれは「質より量」とはさういふことだ、ととらへてゐる。

などといひながら、ここ二週間くらゐなにも編めてゐない。
タティングレースも進んでゐないんだよなあ。
年賀状、もうあきらめやうか知らん。
と、毎年思つてゐる。

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